時事談論 vol.97「株式市場参加者の世代交代」

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●開示内容の運用レベルは?

我が国会計基準の抜本改革を試みた会計ビッグバンから20年以上たった今日,財務諸表の作成基準である会計基準は,国際的にも遜色のないレベルに到達したものと一応は評価できるであろう。監査の厳格化と相まって,少なくとも監査人が目を光らせている中で,間違いなく運用レベルは向上したものといえよう。

さて,財務諸表とともに開示されるそれ以外の情報についてはどうであろうか。

例えば,金商法の有価証券報告書でいう記述情報については,開示規制の強化等により,制度的な枠組みは一応整ったところではあるが,如何せん開示内容の質,すなわち運用レベルに問題がありそうな状況だ。

上場会社の中には,制度改正を前向きにとらえて,投資家との対話を意識した開示内容の充実を図る会社もあれば,従前と同様,余計なことはせず,必要最低限の対応にとどめる後ろ向きの会社も依然多いようである。

このため,投資家には,開示に対する経営者の姿勢が如実に表れている中で,いっそのこと規制当局等に代わって,開示に極めて消極的で,形式的な対応に終始している会社(経営者)をあぶり出していただけないものであろうか。緊張感のないところに,...