バーチャル株主総会(5) <INTERVIEW>オンラインで対話の質は高まる

( 23頁)
株式会社ブイキューブ 代表取締役社長 間下直晃

――昨年の株主総会(2020年3月25日開催)をハイブリッド「参加型」,今年は初めてハイブリッド「出席型」で開催されました。出席型に移行した理由や経緯を教えてください。

昨年の株主総会も出席型で開催したかったのですが,法制度の解釈等に不明瞭な点があり,経済産業省の実施ガイドでそれらを確認できたのが2月末頃だったので事務手続が間に合いませんでした。

私自身は,会場に行かねば株主総会に参加できないこと自体がナンセンスだと思っています。オンラインセミナーをはじめとする当社の事業は,誰がどこにいても対等にコミュニケーションできる環境を提供するものです。ですから当社は以前から決算説明会や個人投資家向けの説明会もオンラインで開催してきました。遠隔地や時間などの環境に左右されず,その場にいるかのようなコミュニケーション手段を提供するのは当社のミッション(Evenな社会=すべての人が平等に機会を得られる社会の実現)であり,そのための取組みは株主総会についても同じです。新型コロナによって急激に社会環境が変わり,リモートで参加する文化が醸成されましたから,今まさに実行しているところです。

――出席型の開催にあたって,法制度へのシステム対応等で検討した点はありますか。

出席型だけでなく参加型であっても,中継動画を一般公開しない場合などは株主様の認証方法を検討することになります。どちらも認証のために株主データベースとの連携が課題になるでしょう。また,オンラインで議決権行使や動議,質疑応答などにスムーズに対応するための仕組みが必要であり,さらには通信トラブルによるアクセス中断などの問題発生時への対応も整理しておかないといけません。

ただ,当社のシステムはすでに必要な機能を完全に実装していたので,これらの課題は対応すべき検討項目というより確認しておくべき項目の位置付けでした。株主認証は信託銀行のシステムと連携することもでき,議決権行使と質疑応答についても要件はすべて満たしています。また,トラブルは万全に準備を整えていても発生し得るものなので,例えば実際に通信回線が途切れるような事態も想定してバックアップ態勢を整えています。

――今年の株主総会の会場運営はどうされましたか。

当社の場合,ハイブリッド「出席型」といってもバーチャルオンリー型に限りなく近い形態をとって...