IASB のれんの償却、再導入しないことを暫定決定

説得力ある新たな証拠は見いだせず
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国際会計基準審議会(IASB)は11月24日のボード会議で、のれんの事後の会計処理について償却を再導入せず、「減損のみ」とすることを決定した。この決定で、およそ10年にわたる「償却か減損か」の議論に決着をみた。IASBは協議文書「企業結合―開示、のれんおよび減損」(DP)の公表を通じて償却を再導入するのに値する「新たな証拠」を求めたが、「寄せられた意見からは説得力のあるものが見いだせなかった」と結論付け、現状通り減損のみのモデルを維持する。

減損テストへの課題などを受け検討開始

IASBでは、2008年にIFRS第3号「企業結合」を改訂し、2013年から適用後レビュー(PIR)を実施。その中で、多くの関係者から以下のようなコメントが寄せられた。

・減損テストは複雑で、時間と費用がかかる。また、企業に困難な判断を要求している。

・減損の発生から企業の財務諸表における減損損失の計上までにタイムラグがある。

・上記の理由から、償却の再導入を希望する。

それを受け、IASBは2020年にDPを公表して償却再導入の是非を問うた。DPの予備的見解は「減損のみ」を維持するというもの。ただ、同見解を支持したボード...