海外展開における広告宣伝費の負担先について

※ 質疑応答の内容は公開日時点の情報に基づくものです
Q

1.自社ブランドを海外でも展開していこうと考えた場合

①日本親会社が製造し、海外子会社に輸出

②日本親会社から海外子会社にブランド(商標権)及び製造ノウハウを供与した上で、海外子会社において製造販売

といった方法が考えられますが、いずれの方法をとった場合においても、海外展開のためにはブランド構築のための広告宣伝費の投入は必要不可欠であり、「親子のどちらが負担するべきか」といった問題が必ず生じます。

2.この点、企業懇話会での過去の質疑応答事例や市販の書籍等を拝見する限り

・広告宣伝費予算(計画)を作成している。

・契約で事前に負担関係を取り決めており、役割分担が明確である。

・親会社が計画の段階から主体的に関与している(単なる子会社コストの付替えではない。親会社としてPDCAをきちんと回している)。

・支出費用に対する回収計画が合理的である(①は輸出利益、②はロイヤリティ収入により回収。その意味で、広告宣伝費の支出規模も勘案したところで、①輸出価格②ロイヤリティ料率を決定すべき、ということになる)。

などをきちんと検討する必要がありますが、「場合によっては日本親会社が負担することも認められる」とされておりますし、ここでの考え方については、弊社でも大変に納得しております。

3.国税不服審判所の裁決要旨(裁決番号:平130276)に、「中国子会社が広告宣伝費を負担すべきであり、親会社による負担は認められない」というものがありますが、この裁決の判断ポイントは何だったのでしょうか。上記も踏まえたところで、ご解説下さい。

※裁決要旨

請求人は、中華人民共和国における広告宣伝に要した費用は、(1)開発費であること、(2)請求人が行った独自の宣伝広告費用であること、(3)利益供与に該当しないこと、(4)税務上の取り扱いからみても不当なこと、から寄附金には該当しない旨主張するが、本件広告宣伝費は中国の合弁会社が製造販売するブランド品の広告宣伝に係るものであり、本件合弁会社が負担すべきものと認められ、合弁会社の資金状況が厳しいため、広告宣伝費を請求人が負担したものと認められることから原処分は相当である。(平14. 6.24東裁(法)平13-276)

A
(専門家の見解全文 文字数:2197文字)

【諸星】 ここで裁決番号が入っていますが………

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