リース取引の会計実務,税務実務とIFRS導入の影響 第1回 リース会計,税務の実務論点

監査法人トーマツ  井上雅彦

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本連載では,わが国の現行会計実務及び税務実務を振り返りながら,そのポイントや特徴を確認していく。また,IFRS再公開草案とその後の暫定決定(本連載ではこれらをまとめて「IFRSリース改訂基準案」という)で明らかになった方向性を踏まえ,日本の現行実務に及ぼす影響を検討する(全7回予定)。第1回はわが国の現行のリース会計及びリース税制における実務論点をみていく。なお,文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。

リースの分類と会計処理,税務処理

1.会計上のリースの分類とファイナンス・リースの判定

会計基準は,リース取引を幅広く定義しており,レンタル契約や不動産等の賃貸借契約など,その包含する範囲は幅広く,「リース契約」,「レンタル契約」,「賃貸借契約」などの名称にかかわらず,賃貸借契約をリース取引として取り扱う。

リース取引は,会計上,ファイナンス・リースとオペレーティング・リースとに分類され,次の①②をともに満たせばファイナンス・リース,どちらかを満たさなければオペレーティング・リースに分類される。

①解約不能の要件

リース契約書では,...