注記実務の留意点 第7回 税効果会計に関する注記

仰星監査法人 公認会計士 大川 泰広

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はじめに

税効果会計は会計と税務の理解が必要であり,一般的に経理担当者にとって難しいと感じる分野であろう。特に,税効果会計に関する注記項目の一つである「法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率の差異分析」は,税効果会計の仕組みを適切に理解していなければ差異要因を把握しきれないため,多くの経理担当者が苦手意識を持っているという印象を受ける。本稿では,有価証券報告書で注記が求められる以下の項目それぞれについて注記作成上のポイントを解説する。特に,税率の差異分析については税率差異が生じる基本的な仕組みから解説する。

<税効果会計に関する注記項目(連結財務諸表の用語,様式及び作成方法に関する規則第15条の5,財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則第8条の12)>

①繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳②当連結会計年度に係る法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に差異があるときは,当該差異の原因となった主な項目別の内訳③法人税等の税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは,その旨及び修正額④連結決算日後に法人税等の税率の変更があ...