厳選!現場からの緊急相談Q&A 第51回 将来キャッシュ・フロー等の「割引率」の決定

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 永江 孝幸

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経理部員 :この度,初めて経理部に異動してきました。経理の実務では,将来キャッシュ・フロー等を割り引く場面が多くあり,それぞれ「割引率」をどのように決定するのか,理解が難しいと感じています。
会計士 :割引率については,割引計算の目的を理解したうえで,将来キャッシュ・フロー等の見積りに反映されるリスク等を踏まえて,対応する割引率を考慮することが重要となります。
 我が国の会計基準等 において割引計算を行うものは,固定資産の減損損失の測定,リース料総額,資産除去債務,退職給付債務,貸倒懸念債権の貸倒見積高,金融商品の時価 などが挙げられますが,それぞれ使用する割引率について会計基準等の考え方を整理してみましょう。

(文中の意見にわたる部分は,筆者の私見であり,筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。)


Q1固定資産の減損損失の測定における使用価値の算定に用いる割引率

減損損失の測定にあたり,使用価値の算定に用いる割引率は,どのように算定するのか教えてください。

◆Answer◆

―Key Point―

・貨幣の時間価値を反映した税引前の利率とします。

・将来キャッシュ・フローがその見積値...