Q&Aコーナー 気になる論点(214) IASBの概念フレームワークの改正(3)
早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一
Q 国際会計基準審議会(IASB)が2018年3月29日に改正した「財務報告に関する概念フレームワーク」(2018年概念フレームワーク)では,認識基準において蓋然性規準や信頼性規準を削除したことから,認識される資産・負債の範囲を拡大しようとしているのでしょうか。 |
A
2018年概念フレームワークでは,資産・負債の認識と結果として生じる収益・費用や資本の変動の認識が,レリバントで忠実な表現をした情報を提供する場合に,それらを認識するとしており,認識された資産・負債の範囲を拡大又は縮小する目的はないとしています。
<解説>
財務諸表と財務報告
1989年公表の概念フレームワークでは,一般目的の財務諸表を取り扱うとしていました。しかし,2010年改正の概念フレームワークでは,IASBの責任と整合的に,財務諸表だけでなく一般目的の財務報告の目的を示していました([図表1])。
もっとも,2010年改正の概念フレームワークにおいて,財務諸表は財務報告の中心的な部分であり,IASBが扱う論点の大部分は財務諸表に関するものであるとしていました ① 。
加えて,2018年概念フレームワークでは,財務報告の他の形態に言及...
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