Q&Aコーナー 気になる論点(246)内部監査の高度化‐信頼されるアドバイザー‐

解説

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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Q  金融庁が2019年6月28日に公表した「金融機関の内部監査の高度化に向けた現状と課題」(以下「金融庁文書」)では,内部監査の更なる高度化に向けて,信頼されるアドバイザーとして,内部監査部門は,経営陣等に経営戦略に資する助言を提供することが期待されるとしています。これは,独立性とは矛盾しないのでしょうか。

A

金融庁文書では,そのような助言を提供する場合においても,内部監査部門の独立性確保の観点から,経営陣による意思決定そのものには関与しないことが前提となるとしています。

<解説>

金融庁文書(1)‐内部監査の水準

金融庁文書は,各金融機関において,ビジネスモデル・経営戦略を踏まえた内部監査のあり方を検討する際の一助となることを期待して公表されるものであり,各金融機関が自身の規模・特性等を踏まえた主体的な検討を行うことが必要であるとしています(金融庁文書 1)。

金融庁文書 2(1)において,当局では,各金融機関の内部監査の全般的な水準について,以下などの目線から評価を実施し,内部監査の底上げや高度化に向けた課題を特定するとしています。...