収益認識基準 導入の道しるべ 第11回 収益認識会計基準の注記

解説

 公認会計士・税理士 内田 正剛

( 18頁)

最終回となる第11回は,収益認識会計基準の注記について解説していきます。注記に関する詳細は原稿執筆日時点(2019年9月30日)で公表されていませんが,会計基準第80項で以下の項目を注記するように規定されています。

・売主の主な事業での主な履行義務の内容
・売主が履行義務を果たしたタイミング

また,「強制適用のタイミングまでにどのような注記を求めるかを検討する」という旨の方針が会計基準第156項で示されています。これについて経営財務のニュース( No.3411・2頁 )では,近く公開草案が公表されるという憶測も示されていますが,まだ明らかではありません。

そこで今回は,収益認識会計基準の先行適用事例やIFRS第15号の適用事例をもとに,どのような開示や注記を求められる可能性があるのか,どんな準備が必要なのかを解説します。

1. ASBJで何が検討対象に上がっているか?

(1)現在の議論の動向

IFRS第15号の適用がすでに海外や日本国内で始まっていることもあり,IFRS第15号の適用状況をにらみながら議論が進められています。執筆日時点では,以下の項目について...