時事談論 vol.89「10年後の経理と会計」

( 44頁)

●経理担当者は要らない?

オックスフォード大学のオズボーン准教授とフレイ博士の共著"The Future of Employment"(2013)が発表されて以来,各国で機械化,AI化の進展で「将来,要らなくなる仕事」が列挙されるようになってきた。簿記,会計,経理の業務は,どのような調査結果でも「不要になる仕事」として挙げられている。なぜなら,経理担当者の仕事が取引記録を会計システムに入力するだけ,だと思われているからだ。取引先とのやり取りは口頭から電話,FAX,メールになったが,それがすべて例外なく電子データになれば確かに入力者は不要になるだろう。

銀行取引のデータは既に日本の汎用会計ソフトでもAPI接続で人手を介さず入手し,会計データに反映することができている。クレジットカードのデータも同様だ。そして,一定の仕訳ルールを設定すれば,データの入手だけでなく自動仕訳もできる。実際,会計ソフトの販売会社は「人手がかからない」を売り文句にしている。昔は取引先のコードなど,自分でつけなければいけなかったし,それは各社各様で汎用性はなかったが,今は法人コードを国が付しているから,それを使えばいい。...