JICPA 内部通報による不正発覚の割合が減少

「上場会社等における会計不正の動向(2021年版)」を公表
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日本公認会計士協会(JICPA,手塚正彦会長)は7月29日,経営研究調査会研究資料第8号「上場会社等における会計不正の動向(2021年版)」(研究資料)を公表した。本研究資料は上場会社とその関係会社(上場会社等)が公表した会計不正を集計し,取りまとめたもの。「2021年版」では,ここ5年間のうちでは会計不正の公表件数が最少(25社)だったことや,内部通報により不正が発覚したケースの割合が減少したことなどを記載している。

不正を「粉飾決算」と「資産の流用」に区分

JICPAは「上場会社等における会計不正の動向」を2018年から年次で公表しており,今回の「2021年版」は2016年4月から2021年3月に適時開示などで公表された上場会社等の会計不正を集計したもの。2015年4月から2020年3月の不正を集計した「2020年版」( No.3469・8頁 )からの更新版に相当する。

研究資料では「会計不正」に関して,JICPAの監査基準委員会報告書240「財務諸表監査における不正」などを参照しつつ定義づけ。すなわち,財務諸表の利用者を欺くために財務諸表に意図的な虚偽表示を行う(計上すべき金額を計上しない...