収益認識 運輸関連で履行義務の充足を変更する事例

2022年3月期1Q 先行事例のない4業種の開示
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収益認識基準の適用が2022年3月期第1四半期から始まった。従来の会計処理からどのような変更を行ったのか,各社が四半期報告書に記載している。その中にはIFRS第15号や収益認識基準早期適用などの先行事例がなかった業種がある。該当するパルプ・紙,銀行業,海運業,倉庫・運輸関連業の4業種の開示を確認すると,パルプ・紙ではリベート等の処理に,運輸関連では履行義務の充足に変更が見られた。

パルプ・紙ではリベートなどの変動対価

収益認識基準の適用にあたっては,IFRS第15号の適用事例,収益認識基準の早期適用事例が参考になる。ただ,パルプ・紙,銀行業,海運業,倉庫・運輸関連業の4業種はいずれの事例も存在しなかった。

各業種はどのような開示を行ったのか,2022年3月期第1四半期報告書の注記を確認したところ,パルプ・紙においては,リベートに関する会計処理の変更を挙げる事例が目立った。リベートは販売促進費・販売奨励金のように顧客に対して支払う対価。収益認識基準第63項では「変動対価」として,別個の財・サービスと交換に支払われる場合を除き,取引価格(収益)から減額する処理が規定されている。例えば大王製紙(東...