金融庁 大量保有報告制度、共同保有者の範囲を明確に

金商法等の改正法案を国会に提出
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金融庁は3月15日、金融商品取引法と「投資信託及び投資法人に関する法律」の改正法案を国会に提出した。企業と投資家の建設的な対話を促進する観点から、大量保有報告制度における「共同保有者」の範囲を明確化する。公開買付(TOB)制度も、TOBの実施が義務付けられる議決権割合を3分の1から30%に引き下げる。

市場環境の変化を踏まえた対応

大量保有報告制度とTOB制度については、金融庁・金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」で検討されてきた。2023年3月の金融審議会総会で金融担当大臣から諮問を受け、6回の議論を経て同年12月に報告書を公表した。

日本の大量保有報告制度は1990年に、TOB制度は1971年に導入されており、2006年以降大きな改正はなかった。今回の見直しの背景には近年の市場環境の変化がある。企業と投資家の建設的な対話が重視され、投資家が協調して投資先企業と対話する「協働エンゲージメント」が広がった。TOBに関しては、市場内取引等を通じた非友好的買収事例の増加やM&Aの多様化などへの対応が求められていた。かつて投資事業会社が市場内取引を通じ、短期間で東京機...