役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<224> 取締役会決議は不要か(2)

 弁護士 小林公明

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前回( 本誌3671号 )に続き、総会の一任決議を受けた退任取締役の慰労金支給に関し取締役会決議が必要か否かを更に検討し、加えて会社の対応等につき述べる。

3 裁判例

裁判例(東京高判平20.9.24判例秘書L06320826)につき、連結子会社たる当該会社の慰労金内規の内容及びその事案の時系列を見てきたところであり(前記3(1)(2)(3))、これらを踏まえて裁判例を更に検討する。

(4)基本的退職金部分に関する判断

3 主位的請求について 上記認定のとおり,控訴人においては,昭和51年9月1日(平成7年6月1日改定),退任した役員の退職慰労金について,本件退職慰労金内規を制定し,遅くとも昭和57年5月以降は,控訴人の株主総会において,退職する役員について,本件退職慰労金内規に従い,金額,時期,方法等については取締役会に一任するとの内容の退職慰労金支給決議をし,これに基づく取締役会の決議により,各役位別年数に各役位別定額を乗じた計算方法により算出された金額の退職慰労金(基本的退職金部分)を支給するという運用がされていた。控訴人(ママ‐筆者注)についても,本件定時株主総会において,従前同様,「会社...