<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第117回 概念フレームワーク(33)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
明日に架ける橋
アメリカのフォーク・デュオ、サイモンとガーファンクルが1970年に発表した「明日に架ける橋」は1970年2月28日から6週連続1位を記録する大ヒットとなり、翌1971年のグラミー賞5部門を獲得した。
ヒットしたのは、この曲の美しいメロディとアート・ガーファンクルの透明な歌声によるところが大きいが、身を挺して友人を支え励ましたいという内容の歌詞も大変素晴らしかったからである。1970年はベトナム戦争が深刻化して、若者の間に反戦の機運が高まった時代でもあった。
この曲の英語のタイトルは、「Bridge Over Troubled Water」で、直訳すれば、洪水の中に架かる橋とか、荒れた川に架かる橋という意味になる。この英文タイトルを「明日に架ける橋」と訳された翻訳者の方のセンスも素晴らしい。翻訳としては全く異なる意味になっているのだが、この曲を表すタイトルとして不適切だったかと言えば、むしろ逆で、最も的確に歌の持つ意味を表現した見事な翻訳であったと思う。というのも、歌全体のトーンが、苦難を乗り越えて明るい未来に足を踏み出して行こうという勇気を鼓舞する歌であるからだ。
橋とはつなが...
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