<INTERVIEW>金融庁 野崎彰企業開示課長に聞く 2024事務年度の企業開示課の取組みと今後の展望
サステナ開示、SSBJ基準の時価総額5,000億円未満への義務化は先行企業の適用状況を踏まえて判断
8月30日に公表された「2024事務年度 金融行政方針」を踏まえて、金融庁の野崎彰企業開示課長(本文中、敬称略)に今事務年度の企業開示課の重点課題や取組み、今後の展望などを聞いた。 ※インタビューは9月18日に実施した |
1.今事務年度の重点課題
編集部 企業開示課長として2年目に入りましたが、今事務年度の企業開示課の重点課題を教えてください。
野崎 今事務年度も大きな柱は変わらず、主に、①コーポレートガバナンス改革の推進、②サステナビリティ情報の開示・保証、③監査品質の向上の3点です。
まず、①コーポレートガバナンス改革の推進については、これまでも東京証券取引所と連携して継続的に取り組んできました。その一環として、本年6月に「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム 2024」を公表し、今後の改革の方向性をお示ししています。その中でも重要となるのが、「企業と投資家のさらなる対話促進に向けた協働エンゲージメントの促進や実質株主の透明性確保に向けたスチュワードシップ・コードの見直し」「政策保有株式の保有実態を踏まえた開示の適切性の検証」「有価証券報告書の株主総会前の開示を促進するための実態把握と抜本的な環境整備に向けた検討」の3点です。それぞれの課題について、必要な施策を着実に進めていければと考えています。
昨事務年度は「形式から実質へ」、今事務年度からは「実質から実践へ」と着実にステップアップしながらも、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上という本来の目的に常に立ち返りつつ、コーポレートガバナンス改革を継続して進めてまいりたいと思います。
②サステナビリティ情報の開示・保証については、2023年3月期から有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示がスタートしています。その一方で、具体的な開示基準ということでは、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が昨年6月にサステナビリティ情報の開示基準を最終化しており、これを踏まえて、日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が本年3月に日本版の開示基準(SSBJ基準)の公開草案を公表しています。保証のあり方に関する国際的な議論も進展しており、サステナビリティ情報の開示・保証を巡る国内外の環境は大きく変化しています。こうした中で、幅広い関係者の方々とも連携しつつ開示基準の適用...
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