移転価格
令和2年度以降、移転価格調査の位置づけが変わったと聞きました。具体的には何が変わり、どのような影響があるのでしょうか?
旧国際情報部門が調査対象として選定していた法人は、国外関連取引の規模、内容、国外関連者の利益率水準等、別表17(4)の内容を中心に移転価格課税リスクに特化した検討がなされていましたが、新たに設立された国際調査部門が調査対象として選定する法人は、申告書・別表等の部内資料やCRSやCbCR情報に加え、各種の...
一般的な法人税調査(調査部一般部門による調査)においても移転価格調査が実施される可能性もあるとのことですが、これは都市部だけの傾向なのでしょうか。地方においてもその影響はあるのでしょうか?
これまでも東京局、大阪局などの国際課税問題を抱える企業を数多く所管する国税局調査部国際関係部署は(ここでは便宜的に「都市局」といいます。)、それ以外の国税局調査課(同じく「地方局」といいます。)の調査支援を行っていましたが、その支援内容も本格的な移転価格の問題(棚卸取引や無形資産取引を含む。)を対象...
海外子会社の利益率がALPレンジを外れてしまい(下振れ)、日本からの価格調整金を検討しています。日本の税務調査で指摘されるのはどのような場合なのでしょうか?
企業が価格設定方針(プライシングポリシー)を設定していても、想定した利益率レンジから外れた場合に、どの時点で、どの範囲で調整金の収受を行うのか、予め取り決めていなかった、または明瞭に文書にしていなかったという事例が見受けられます。さらに、事前の取決めがあったとしても、実際に価格調整金が発生した際の具体...
移転価格調査において、調査官が、機能・リスク分析を行う際に最も重視するポイントは何でしょうか?
移転価格調査において、調査官が、機能・リスク分析を行う場合に最も重視するポイントは、「国外関連取引に係る収益の源泉が何処にあるのか」という事実認定です。これは、法人と国外関連者が果たす機能または負担するリスクの中で、何が「超過収益の源泉」となっていて、法人と国外関連者がそれに対し、どのように「貢献」し...
ローカルファイル作成において、機能・リスク分析を内部で実施することの意義はコスト面のほか、どのようなところにありますか?
ローカルファイル作成を外部専門家に委託する場合は委託を受けた外部専門家がこのようなインタビューを実施することになるとは思いますが、企業をよく知る自社の担当者が直接これを行うことにより、より効率的に進めることができるばかりでなく、インタビューの実施は企業内の組織横断的な税務対応の体制構築にも役立つものと...
ローカルファイル作成においては、TNMMを採用する場合、海外子会社と機能・リスクが似ているコンパラブルを選定して、ALPレンジを決定すると思います。一般的には、四分位レンジが用いられると思いますが、レンジの形成において調査官が見るポイントや留意すべき点などはありますか?
調査官は、レンジ「幅」に注目します。形成されるレンジの幅が狭い方が、比較対象取引としてより精度が高いとも考えられますが、現実的には、翌事業年度において利益率指標レンジ内に収まらない可能性も生じてきます。レンジに収めるために、各事業年度においてスクリーニング基準を変更していては恣意的と判断される可能性が...
移転価格調査において、調査官の意見に対する企業側の考えを伝えたいとき、どのようなタイミングで行うのがよろしいでしょうか?
本格的な移転価格調査の場合、調査官は、最終的な調査結果の説明の前に、納税者との議論を促進するため、必要に応じて、次のような段階で書面での意見提示をします。①調査開始時の資料提出依頼(臨場調査、事業部等からのヒアリングなどに応じ、その後も随時)②調査担当者意見(部分的な意見や複数回提示の場合もある)③調査...
税務当局が移転価格リスクの高い法人を選定する際、どのような資料やデータ等を重視されるのでしょうか?
当局には、部内資料やCRSやCbCRによる情報のほか、各種の外部データベースの情報が集積され、国際課税リスク分析に活用されていますが、移転価格リスク分析に限っていえば、未だ別表17(4)を基本とした分析が行われています。
移転価格リスクの評価に際しては、別表17(4)以外にも、次のような情報も参考にさ...
バイAPAの更新をしないことを検討しています。これまで続けていたAPAを止めるにあたりどのような点に注意すべきでしょうか?
バイAPAを更新しないという判断をした場合には、その後の申告について次のような点に注意する必要があります。
APAを止めたら直ぐに利益率水準が上昇した(下降した)場合は税務当局から問題視される(調査対象の候補に挙がる)可能性が高まります。このため、①その後も確認水準を維持するか、②利益率の増減について...
最近の税務調査では、「価格調整金」について詳細な資料の提出依頼がよくあるそうです。なぜ「価格調整金」の調査が増えているのでしょうか?
調査担当官は、国外関連者との間の価格調整金について、「寄附金」とされるものはないか、との観点で調査を行っていると考えられます。
国税局の調査体制の見直しで、通常の法人税調査と移転価格調査の同時調査が増えています。国際課税を専門に扱わない調査部門でも移転価格の関連項目を調査しているということです。多額に...
法人税と移転価格の同時調査で国外関連取引に着目され、結果的に国外関連者に対する寄附金課税になっているようです。なぜ、国外関連取引について、移転価格課税ではなく寄附金課税が行われるのでしょうか?
国外関連者への寄附金として新聞報道等された事例をみても、移転価格課税の事案でもおかしくないものがあるといわれます。
同じような取引でも、条文上の仕組みと事実認定から、移転価格課税(租税特別措置法66条の4)だったり、寄附金課税(法人税法37条)だったりすることがあるようです。寄附金で処理されることの最...
初めて移転価格の調査を受けることになりました。調査官からは会社のパンフレットや決算数値データの提出だけでなく、事業部へのインタビューの設定なども求められていますが、なぜなのですか。
通常の法人税調査と移転価格の同時調査が一般化していることで、これまで移転価格調査を受けたことのない会社では、税務・経理担当の方々も対応に苦慮されるようです。移転価格に関するルールの規定ぶりのあいまいさがもたらす調査プロセスの特殊性が指摘されます。...
国税局調査部の調査方針の変更や組織改変で、移転価格調査は「特別な調査」から「調査項目の一つ」になったといわれます。移転価格問題の調査と通常の法人税調査との同時調査への対応では、どのような点に注意が必要でしょうか。
法人税調査では資料依頼書が交付され、最初の段階からローカルファイルの提出を求められることが多くなっているようです。移転価格問題の調査では、事実認定を行う対象範囲が広範であることなどから、財務や経理・税務以外の事業部門の方々に対し、親子会社間の事業における機能・リスク全般がどのようになっているかなど、...
近年の社会経済の著しい環境変化で、グループ内の各企業の損益の振れ幅が大きくなっています。価格調整金を利用して移転価格リスクのコントロールを検討しようと考えていますが、どのような点に注意が必要でしょうか。
「価格調整金」は単なる名目で、実質は海外子会社に対する支援金(寄附金)ではないか、あるいは利益調整ではないか、といった観点で税務調査が行われることがあるので、寄附金ではなく、移転価格調整であると説明できるようにしておくことが必要です。...
海外子会社が業績低迷に陥ったことで移転価格への対応で苦慮している、というケースはよくあるそうですが、どのように対応すればよいでしょうか。
一般的に我が国での移転価格上のリスクは低いといえますが、処理を誤ると寄附金課税の問題が生じかねないので注意が必要です。海外子会社が資材を現地調達し販売先も現地、日本親会社にはロイヤルティの支払いがあるだけという場合には、ロイヤルティ料率の引下げなどが検討されますが、贈与とみられることのないよう無形資...
海外子会社の業績が低迷して代金回収や金利等の回収さえ困難になってしまったというような場合、 寄附金課税のリスクはどのように考えればよいでしょうか。
業績が悪化した子会社に対し、ロイヤルティ料率の引下げや価格調整金の授受などでの対応も困難となった場合、寄附金かどうかの問題は、国外関連者に限らず全ての法人との取引に適用される「法人税基本通達」にある取扱いなどの適用を検討することになります。...
移転価格税制は国外関連取引にしか適用されないとのことですが、移転価格の問題が、何か国内取引に影響してくることはありませんか。
国内子会社との取引価格が第三者との間の取引価格と比べた場合に過大または過少となっていると、事実認定によっては、寄附が行われたと扱われる可能性が出てきますので、寄附金税制について検討しておく必要があります。また、グループ法人税制の適用を受けていて受取側法人の所得が赤字の場合などには、寄附金とすることに...
税務調査では、海外子会社等へ出張した際のコストが適正に回収されているか、必ずチェックされるそうです。回収されていないと判断されると、ほぼ確実に国外関連者に対する寄附金として所得加算を求められるとのことですが、税務調査を想定してどのような準備が考えられますか。
海外出張の目的は、海外子会社の株主総会や取締役会の出席に係る出張、海外子会社の品質管理や子会社への各種視察等、現地子会社の得意先への挨拶回り、技術支援など、様々な目的を兼ねて行われることもあります。出張者の人件費の計算方法など対価の範囲や対価の区分の仕方、疎明資料となる出張報告書の書き方にも注意が必...
税務調査では、海外子会社等への出向状況に関する資料の提出を要請されることが多く、出向者に係る格差補填については、国外関連者に対する寄附金ではないかといった指摘がされることがあるそうです。この問題が水掛け論に終始しないようにするにはどのように整理しておけばよいですか。
法人税基本通達9-2-47「出向者に対する給与の格差補填」の取扱いで損金算入が認められていますが、そもそも「寄附金」というからには、相手方に「経済的な利益」(法人税法37条)があることが前提です。「経済的な利益」の有無が、その格差補填が寄附金に該当するか否かのメルクマールとなります。...

















