外国債券の利子、譲渡、償還における消費税の取扱い

※ 事例の内容は回答年月日時点の情報に基づくものです
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[質問]
状況
 日本国内の金融機関が利息収入を確保する目的で、外国債券を所持しています。
①利息収入と②売買時の売却代金と③償還時の為替差損益について、消費税の取り扱いに悩んでいます。
 保有している有価証券は、大きく分けて 2 パターンに分かれています。
① 外国の国債等の債券
 フランス国債、ドイツ国債、欧州銀行債、欧州の会社の社債等を所持しています。
 いずれも、日本国内の大手証券会社で取得しています。
 これらの債券は、ユーロクリア(ベルギーにある国際証券決済機関)等のヨーロッパの保管振替機関が海外で振替決済を行っています。
② リパッケージ債
 既発債券(日本国債・日本国内の上場企業の社債等)のキャッシュフローを投資家にとって、より魅力的なキャッシュフローになるように、通貨・金利スワップ等のデリバティブを組み合わせて、仕立て直した債券です。いわゆる仕組債の一種です。
 国債だと利息収入が確保できないので、より魅力的な金利スワップと組み合わせて保持することで、より大きな利息収入を得ることができます。
 具体的には、ケイマン諸島等に籍を置く特別目的会社があり、この特別目的会社が、ユーロクリアを振替機関として、債券(リパッケージ債そのもの)を発行して資金を調達し、日本国債(OR上場企業の社債)等と金利スワップを取得します。
 そして、債券所有者に、日本国債等を裏付資産としつつ金利は外貨建てで高金利といった特殊な債券を提供し、相対的に高い金利を支払っています。
 このような債券を国内の大手証券会社経由で取得しています。

照会事項 1
 外国の国債等から得ている利息収入については、債務者が国外にいるため(非居住者であるため)、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するとみなして、その利息収入は課税売上割合の計算上、分母にも分子にも加算するものと考えていますが妥当でしょうか。

照会事項 2
 同様にケイマン諸島に籍を置き、ユーロクリアで決済されているリパッケージ債についても、債務者である特別目的会社は国外にあるため非居住者で、当該債務者が支払う利息は課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するとみなして、課税売上割合の計算上、分母にも分子にも加算するものと考えていますが妥当でしょうか。
 (リパッケージ債の担保となる債券は日本国債等ですが、債務者は非居住者ですので、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当すると思っています。妥当でしょうか。)

照会事項 3
 外国債券(フランス国債等)が償還を迎える前に売却されたと仮定します。
 保管振替機構であるユーロクリア等は国外にありますので、売却取引は国外で行われた取引であり、当該金融機関の消費税の課税関係に影響しない(課税売上割合の計算上、分母にも分子にも加算しない)のではないかと考えています。妥当でしょうか。

照会事項 4
 リパッケージ債を償還を迎える前に売却したと仮定します。
 保管振替機構であるユーロクリア等は国外にありますので、売却取引は国外で行われた取引であり、当該金融機関の消費税の課税関係に影響しない(課税売上割合の計算上、分母にも分子にも加算しない)のではないかと考えています。妥当でしょうか。

照会事項 5
 フランス国債等が満期償還をむかえ、取得当初99ユーロで取得したフランス国債が償却原価法を適用した後で簿価100ユーロとなった段階で、償還されました。
 まず、償却原価法による償却額は、利息の調整項目ですので、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するとみなして課税売上割合計算上、分母にも分子にも加算するという結論でよいものと考えています。
 一方で、100ユーロ償還を受けた際に、取得当初の為替レート=120円/ユーロだったものが、償還時の為替レート=130円/ユーロとなっているため、結果、10 円/ユーロの為替差損益が生じています。
 この為替差益は金融工学的には利息そのものだと考えられますが、消費税の計算上は、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するとみなして課税売上割合計算上、分母にも分子にも加算して良いものでしょうか。

照会事項 6
 為替差損が生じた場合も、照会事項 5 と同様と考えてよいでしょうか。

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〔照会事項1〕 事例………
(回答全文の文字数:983文字)