建物売買に伴うJA建物厚生共済契約の解約返戻金相当額の取扱い
所得税 所得区分[質問]
個人甲は、所有する建物を同族法人乙に譲渡しました。
建物にはJA建物更生共済契約(以下、「建更」といいます。)がかけられており、共済掛金は甲が負担していました。
建更には掛金の積立部分があり、建物譲渡に伴い、建更についても譲渡日時点の建更の解約返戻金相当額を授受することで甲から乙へ譲渡(甲から乙へ名義変更)をしました。
(質問事項)
建更についてその解約返戻金相当額で譲渡した場合の当該譲渡に係る個人甲の課税関係(所得区分)は一時所得と解して差し支えないでしょうか。
(当事務所の見解)
一時所得に該当する。
まず、建更の積立部分の金額についてはJAとの共済契約に基づく請求権としての金銭債権と考えられることから譲渡所得には該当しない(所基通33-1)。
次に、所基通34-1に例示される一時所得に該当するか否かについて、「令第184条第4項《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等」とされ、同施行令第184条第2項において「損害保険契約等に基づく満期返戻金等の支払を受ける居住者のその支払を受ける年分の当該満期返戻金等に係る一時所得の金額の計算については、次に定めるところによる。」とされていることから、損害保険契約等に基づく満期返戻金等については、一時所得になることを前提とした規定となっている。
仮に個人甲が建更を解約し、法人乙が新規に建更契約を行った場合(契約主体が個人から法人に変わるという点で実質的な法的効果は名義書換と同様と考えられる)は、上記の規定に基づき個人甲は一時所得としての課税になると考えられるところ、解約返戻金相当額での名義書換の場合は、当該解約返戻金相当額については保険会社からではなく契約の譲受人(本件では法人乙)から支払いを受ける形となる点で異なるが、実質的な法的効果は同じであることから、解約した場合の課税関係と異なる税務処理になるのは合理的ではないと考えられる。以上より、一時所得として課税されると考える。
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