営利型一般社団法人の交際費及び寄附金

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 医学系学会(営利型の一般社団法人)が学術集会開催時に、学術集会参加者に対して旅費を補助した場合の法人税法上(交際費、寄付金)の扱いについて質問です。


【事実関係】
1. 医学系学会の営利型一般社団法人で、毎期、全所得を対象に、法人税申告をおこなっています。
2. 主たる事業は、学術集会の開催で、年1回、国内外から約5,000名の医師・大学の先生・研究者等が参加して、各種講演・シンポジウム等をおこなっています。あわせて、企業から協賛金を募り、企業共催セミナー、企業製品の展示等を同時に開催しています。
3. 今回、当法人の理事会において、国内外からより多くの医師に参加していただき、最新の知識、技術の交換・取得をしていただき、医学の発展に寄与したいと考えて、参加のための諸費用をご自身で負担することが困難な医師の一助になるよう、学術集会参加のための旅費を補助する制度を設けました。
4. 旅費補助金支給に際しての原資は、共催セミナー・企業展示等を行う協賛企業から、別途に旅費補助金のための寄付金を募り、当該寄付金を充当します。寄付していただく企業からは、寄付いただく国・病院・人数等をご推薦いただき、当法人で、招聘する医師を最終決定いたします。
5. 企業からの寄付金は計5,000万円、招聘する地域・人数はアジア40名・東南アジア20名・ヨーロッパ50名の計110名を目標にしています。
6. 旅費を補助する医師は、当法人の会員ではありませんが、当法人の目的・事業分野に関係する医師であり、学術集会に参加いただくことは当法人の目的に大きく資するものです。なお、当法人から旅費を補助する医師に対して講演等の役務の依頼をおこなうことは原則ありません。
7. また、旅費補助に際しては、招聘する医師に金銭を支給するのではなく、旅行代理店などで航空券を手配のうえ、当法人から直接、旅行代理店へ代金を支払います。宿泊費についても同様に当法人から宿泊施設に直接代金を支払います。
8. 旅行代理店・宿泊施設等へ代金を支払い後、協賛企業に、支出明細を送付のうえ、企業からの寄付金に過不足が生じた場合は過不足分の精算をおこないます、従いまして、各企業からの寄付金と、当該企業が推薦する病院の招聘医師への旅費補助金は同額になり、当該法人としての金銭的な負担は生じない仕組みとします。
9. 当法人の収支決算書上では、各企業からの寄付金を寄付金収入、旅費補助金を旅費交通費として支出計上いたします。


【質問事項】
1. 今回の旅費・宿泊費の補助は、下記の理由から、当法人において、法人税法上の交際費、寄付金には該当せず、その全額を経費(損金)として処理することができると考えてよろしいでしょうか。
(1) 招聘医師に対する旅費、宿泊費の補助は、当法人主催の学術集会への出席のために必要な費用であり、支給方法も旅行会社、ホテル等へ直接支払うこととしていることから、寄付金には該当しない。
(2) 招聘医師に対する旅費・宿泊費の補助は、当法人の主目的である学術集会への出席の補助であり、交際接待の目的のための来日ではないこと、また、国内外からより多くの医師に学術集会に参加していただき、最新の知識、技術の交換・取得をしていただくことは、当法人の事業目的に大きく資するものであることから、そもそも冗費には当たらず接待、饗応に該当しないため交際費には該当しない。


2. 仮に、当法人が支出する旅費、宿泊費の補助が法人税法上の交際費とみなされた場合であっても、あらかじめ協賛企業から、寄付いただく国、病院、人数等をご推薦いただき、費用についても協賛金業からの寄付金を充てることを了承いただいているので、措置法61の4(1)-15(4)かっこ書きに準じて、当法人と協賛企業が共同して招待したものと考え、旅費はその全額を協賛企業側が負担し、当法人は金銭的な負担をしていないので、当法人において交際費に該当する部分はないと考えてよいでしょうか。それとも、企業からの寄付を寄付金収入として処理している以上は、寄付金収入と旅費宿泊費の補助は相殺されることなく、あくまでも旅費、宿泊費の補助として支出した金額の全額を交際費として損金不算入額を計算することになりますか。

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1 (交際費該当性)………
(回答全文の文字数:951文字)