新型コロナウイルスショックによる株価下落と評価損

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 上場有価証券の評価損の損金算入についてお伺いします。
 A社(3月決算法人)が長期保有目的で所有する上場会社B社の時価(株価)はB社の業績悪化や新型コロナウイルスショックの影響もあり3月末日現在で大幅に下落しており、事業年度末における株価が帳簿価額の50%を大幅に下回る状況にあります。
 A社ではB社株式の評価損について、損金経理による帳簿価額の減額を行うことを検討していますが、法人税法基本通達9-1-7では、令68条1項2号イ《上場有価証券等の評価損の計上ができる事実》に規定する「有価証券の価額が著しく低下したこと」の要件として「近い将来その価額の回復が見込まれないこと」を規定しています。
 国税庁『上場有価証券の評価損に関するQ&A』(平成21年4月)Q2には「監査法人による監査を受ける法人において、上場株式の事業年度末における株価が帳簿価額の50%相当額を下回る場合の株価の回復可能性の判断の基準として一定の形式基準を策定し、税効果会計等の観点から自社の監査を担当する監査法人から、その合理性についてチェックを受けて、これを継続的に使用するのであれば、税務上その基準に基づく損金算入の判断については合理的なものと認められます」との記載があります。
 A社はC社(東証1部上場企業)の100%子会社であり、監査法人との直接の監査契約はないものの、連結決算の範囲に含まれています(重要な子会社であるため監査法人による監査は定期的に行われています)。
 有価証券の評価方法については監査法人から合理性についてチェックを受けた上でC社が形式基準を策定し、A社も当該形式基準に従って帳簿価額の減額処理(損金経理)を行う予定です。
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 国税庁『上場有価証券の評価損に関するQ&A』(平成21年4月)Q2では「監査法人による監査を受ける法人」を対象として記載されていますが、A社のような監査法人との直接の監査契約がない法人についても適用があるものと考えて問題ないものでしょうか。

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 御承知のように、税………
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