法人税基本通達9-4-1等に規定する子会社等の範囲

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 法人税基本通達9-4-1及び同9-4-2において子会社等を整理又は再建する場合の、一定の要件を満たす損失負担等や無利息貸付け等は寄付金の額に該当しないものとされています。
? また、法人税基本通達9-4-1の(注)において子会社等の範囲は「当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下、同9-4-2において同じ。)とあります。
? 複合ビルのオーナーがテナント(個人)に対して家賃を一時的に減額若しくは免除することに加えて、一定の条件を付して支援金を支払うこととした場合に、当該テナントは法人税基本通達9-4-1(注)の子会社等に該当するかどうかを教えてください。


(事実関係)
 法人Aは、複合ビルのテナント事業を営んでいます。
 A社が所有するビルは、オフィスだけでなく、宿泊設備・コンビニ・飲食店・美術館等を営む事業者がテナントとして入居しています。
 また、上記テナントに加えてイベント会場の運営も行っており、当該ビルにはテナント入居者の従業員などだけでなく、外部の一般の方も多数来場されます。
 数年前に、テナントのうち飲食店を営む事業者B(個人)から業績の悪化を理由に廃業し撤退を検討しているという話がありました。
? 当ビルの周辺にはコンビニや飲食店がなく、Bが撤退をした場合にはテナント入居者や来場者に対して飲食を提供できる施設がコンビニだけになってしまい、ビル全体の利便性が著しく低下することから、家賃の減額などの支援を行ってきました。
 今回、Bより新型コロナウィルス感染症による影響もあり、さらに業績が悪化したことを理由として廃業撤退の申出がありました。
 A社としては、ビル全体の利便性の低下に対する懸念から、Bに対して事業継続してもらえるように追加の支援を打診しようと考えています。
 Bからの撤退の申出の中ではBの直近1年程度の損益の状況が提示され、それをみたA社としては家賃の免除だけでは、Bが自力で赤字を解消し事業を継続していくことは不可能と判断したことから、一定の支援金を支払うことも検討しています。
(問題点)
? 法人税法上、経済的な支援は寄付金として扱われていますが、法人税基本通達9-4-1及び同9-4-2に該当する場合には寄付金額に該当しないこととなります。
? 今回の事例のBが法人税基本通達9-4-1(注)にある子会社等に該当するかが問題となります。
(当事務所の見解)
? 国税庁質疑応答事例等№5280のQ3-1によると、資本(親子)関係がないことのみをもって子会社等に該当しないとするものではないこととされています。
 また、同質疑応答事例等Q3-2では、例示として、金融機関にとって融資を行っている個人が子会社等に該当するとされています。
 Bが事業を再建することができれば、A社にとってはテナント料を見込むこともできますし、B以外のテナント入居者及び一般来場者に対する利便性の低下を防ぐこともできます。
 そのため、A社にとってのBは取引関係において事業関連性を有するものと考えられ、法人税基本通達9-4-1(注)にある子会社等に該当するものと考えます。


 

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 子会社等(事業関連………
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