合資会社が株式会社に組織変更する場合の労務出資の取扱い

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
① 合資会社A社 資本金100,000円 出資者 甲(父)金銭出資
② 無限責任社員 乙(子)金銭出資なし。
 業務執行は乙のみが行い、甲は関与していない。
  乙 役員報酬あり
  甲 役員報酬なし
③ 合資会社の資産状況:債務超過の状況ではなく純資産がプラス
④ 合資会社の定款
 無限責任社員 乙の出資金額記載なし。
 有限責任社員 甲 金100,000円の金銭出資の記載あり。
 財産を出資の目的とした社員が死亡したときは、その相続人は他の社員の承諾を得て、持分を承継して社員となることができる。
⑤ 決算書の資本金は甲出資の100,000円


 以上のような状況で、合資会社A社を株式会社A社に組織変更する際、発行する株式は、金銭による財産出資にかかる持分を有する甲に全株発行するのが妥当であり、もし乙にも幾分か発行した場合、贈与税が生じると考えますが、如何でしょうか。
 会社法上は無限責任社員の労務出資も認められていますが、
1. 贈与税・相続税が財産課税であること。
2. 労務出資の財産評価を客観的に算定することが困難であること。
3. 財産評価基本通達194は同通達178(取引所の相場のない株式)の規定に準じるものとされているが、純資産価額方式にかかる資産について、労務出資についての評価規定がない。


 以上より労務出資については相続税や贈与税の対象となる財産ではなく、従って乙にA社株式を無償で割り当てた場合、甲から乙への贈与税が認定されると考えますが如何でしょうか。

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1 事実関係 合資会………
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