建物取壊し後の土地の用途が決まっていない場合の建物取壊し費用に係る消費税額の課税仕入区分

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 当社は、〇〇県に本社を置く食料品製造業を営む株式会社です(3月決算)。
 上場会社甲社(本社東京)の100%子会社でしたが、甲社は、平成30年1月にすべての株式を〇〇県に本社を置く乙社(資本金1億円以下の中小法人)に譲渡しました。
 現在、当社は乙社の100%子会社となっています。
 ところで、当社は△△県と〇〇県に製造工業を有していましたが、△△工場の収益悪化により構造改革を図るべく平成28年3月に△△工場を閉鎖しました。△△県には次の施設があります(AとBは道路を挟んで別の区画となっています)。
 A:△△工場(土地8,500㎡)
 B:△△事務所及び倉庫(土地6,500㎡)
 工場閉鎖後、平成28年度(平成28年4月~29年3月)において売却を含めた跡地の活用を検討する中で、Aの△△工場については、長期にわたり建屋を現状のまま保有することは防犯防災上の問題や、固定資産税課税の問題もあるので、平成29年1~4月の期間に建物を取り壊しました。取壊費用は9,000万円(税抜)かかりました。
 取壊時点(平成29年4月)においては土地の活用方法は未定でした。乙社が親会社になってからも、土地活用の結論を急ぐ必要がないことから、結論はさらに先送りとなっています。
 一方、Bの△△事務所及び倉庫については、平成29年7月に建物付きのまま売却しました。うち、土地の売却金額は5,000万円です。
 当社の課税売上高は、おおむね20億円(税抜)です。通常年度においては課税売上割合が99.99%のため、消費税の申告においては、簡便性の観点からずっと一括比例配分方式により仕入控除税額を計算していましたが、当年度において土地の譲渡があったため、個別対応方式で計算することを前提に、「たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上げに準ずる割合の承認申請」をし、期末までにその承認を受けています。


質問1
 Aの△△工場の取壊費用に係る仮払消費税の区分は、土地の売却や土地の賃貸が目的であれば「非課税売上げにのみ対応する課税仕入れ」となるものと思いますが、活用方法が未定であるため「課税非課税売上げに共通の課税仕入れ」と考えていいでしょうか。
 活用方法検討についての現状は、新工場の建設は予定していないため、自社利用するとすれば物流拠点としての施設の建設が考えられますが、いい条件での売却の話があれば売却が優先するという状況です。


質問2
 Aの△△工場の取壊費用に係る仮払消費税の区分が、「非課税売上げにのみ対応する課税仕入れ」となった場合に、個別対応方式で計算するより一括比例配分方式の方が有利となったとき(「実際の課税売上割合」が97%程度となります)は、準ずる割合の承認申請をして承認を受けているにもかかわらず、一括比例配分方式(一括比例配分方式による場合は、承認を受けた「準ずる割合」ではなく「実際の課税売上割合」による按分となりますが)により申告することはできますか。

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質問1について 消費………
(回答全文の文字数:610文字)