クレジットカードの発行手数料及び発行に係るインセンティブ等の課税関係
消費税 課税範囲[質問]
カード発行会社における発行手数料およびインセンティブ等にかかる消費税にかかる質問です。
1. 概要
株式会社Aはクレジットカードを発行することを業としております。
また、株式会社Aは提携クレジットカードをサービスとして取り扱うことを予定しており、アイドル等のキャラクター入りのクレジットカード(以下、オリジナルカードといいます)を発行することを予定しております。
この場合、カードユーザーはカード発行手数料を株式会社Aに支払うこととなりますが、キャラクター等を管理している提携会社Bは、オリジナルカード発行時にカードユーザーから任意の発行料を設定することができます。さらに、株式会社Aは提携会社Bにカード発行手数料からカード製作実費を差し引いた額に80%を乗じた額をインセンティブとして支払うこととなります。
例えば、オリジナルカード発行手数料を10000円と設定した場合、株式会社Aは提携会社Bに10000円から固定料金としてカード製作実費2500円差し引いた額に80%を乗じた額((10000円-2500円)×80%=6000円)をインセンティブとして支払うこととなります。
また、オリジナルカード発行手数料を2500円以下に設定した場合、例えば、オリジナルカード発行手数料を0円と設定した場合、提携会社Bは株式会社Aに固定料金としてカード製作実費2500円のみを支払い、インセンティブは発生しないことになります。もちろんこの場合、カードユーザーから発行手数料を受け取らないこととなります。
なお、カード発行にあたって発行義務の主たる責任を負っている法人は株式会社Aであり、提携会社Bがカード発行手数料を自由に設定できるものの、2500円のカード製作実費と20%のインセンティブ率の決定権は株式会社Aにあります。また、カード発行手数料は株式会社Aがユーザーから直接収受し、インセンティブ分を提携会社Bに振り込むという流れになります。
ここで、株式会社Aにおける消費税法上の取り扱いが問題となります。
2. ご質問
上記の例を用いてご質問させていただきます。
パターン1
・オリジナルカード発行手数料:0円(税込)
・株式会社Aの取り分
カード製作実費:2500円(税込)
インセンティブ:なし
・提携会社Bの取り分
インセンティブ:なし
パターン1においては、オリジナルカード発行手数料が0円と設定されており、提携会社Bは株式会社Aにカード製作実費として2500円のみを支払うこととなります。この場合、株式会社Aは課税売上2500円として認識すべきであると考えます。
パターン2
・オリジナルカード発行手数料:10000円(税込)
・株式会社Aの取り分
カード製作実費:2500円(税込)
インセンティブ:1500円(税込)(=(10000円―2500円)×20%)
・提携会社Bの取り分
インセンティブ:6000円(税込)(=(10000円―2500円)×80%)
パターン2においては、課税売上・課税仕入の認識金額としては以下の2つの処理方法が考えられます。
処理方法(1)課税売上:10000円+2500円=12500円、課税仕入:8500円
処理方法(2)課税売上:10000円、課税仕入:6000円
(1)は制作売上2500円部分についてパターン1と考えを整合させた場合の処理で、厳密に消費税の総額主義をみる方法、(2)はカードユーザーと株式会社Aとの取引、株式会社Aと提携会社Bとの取引に分解した場合に収受する額を総額としてとらえた方法になります。
上記を整理すると、カード発行手数料が2500円以下のケースは提携会社Bから最低限の製作売上2500円もらうということで、それに考えを統一するならば、2500円以上のケースも同様に最低限の制作売上2500円をもらう考えもあり得るため、処理方法(1)が妥当とも考えられます。
一方で、
1. カードユーザーからほとんどもらわない場合(0~2500円)は、製作売上がないと製作費用を吸収できないため、提携会社に2500円をもらう契約
2. カードユーザーから発行手数料10000円もらえる場合には、10000円もらう代わりに、インセンティブ6000円を払うという契約(カードユーザーから2500円分も含まれてもらっているからさらに2500円売上として計上不要との考え)
の2つの契約が存在すると擬制するならば、処理方法(2)でもよいと考えられます。
処理方法(2)が実態を表していると考えていますが、処理方法(1)・処理方法(2)のどちらの方法が妥当と考えればよろしいでしょうか。リスクや条文等を交えてご回答ください。
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