みなし譲渡課税

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 甲法人に対して取締役Aが行った建物の無償譲渡が取締役Aのみなし譲渡に該当するかご教示ください。
【前提】
 甲法人の所有する土地に、甲法人の取締役Aが建物を所有しています。
 取締役Aは甲法人の同族関係者に該当します。
 甲法人は当該建物で飲食店を営んでいます。
 令和3年8月に飲食店を閉店し、当該建物を取り壊したうえで新たにマンションの建築を予定しています。
 甲法人は取締役Aに対して家賃を支払い、取締役Aは甲法人に対して地代を支払っています。
 無償返還の届出はなく、また、権利金の支払いもなく、相当の地代の収受が行われています。
 なお、今回の取壊費用は5,000万円の予定です。
 この取壊費用は甲法人が負担します。
 9月に賃貸借契約を解消し、取壊しを10月に予定しています。
 流れとしては、賃貸借契約解消後に取締役Aより甲法人へ無償譲渡したうえで、甲法人が建物を取り壊します。
 なお、建物の時価は4,500万円程度です。
【当方の見解】
 相当の地代の収受が行われていることから取締役Aに借地権は帰属していないと判断しています。
 この場合には、建物の譲渡に伴い、当該土地を地主である甲法人に無償で返還することが相当であると考えます。
 その際に、取壊費用は、取締役Aが負担するのが一般的ですが、本事例では、甲法人が飲食店を閉店し、新築用マンションを建築するために、取締役Aに退去の申し出を行ったが、借地人である取締役Aとしては、取壊費用が高額になることから取壊しを拒んでいたところ、むりやり撤去を命じたものになるため、甲法人が取壊費用を負担することで承諾を得たことになります。
 また、取壊費用はおおむね時価と同等(取壊費用5,000万円、建物時価4,500万円)です。
 以上のことから取締役Aについて、みなし譲渡は生じないと考えています。

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〔回答〕 ご照会の建………
(回答全文の文字数:1129文字)