値上げ社宅に対する必要経費性

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
1. 個人事業を営む甲は、後継者である子供夫婦が事業を引き継ぐために当地に戻ってきたので、社宅を借り上げ2人は社宅に入居しました。
 子供夫婦は、甲の事業に勤務、甲とは生計別です。
①社宅の借主は甲名義で、家賃も甲が支払っております。
②現物給与にならないように、支払家賃7万円に対し本人負担分は1万円に設定しました(非課税の範囲になっています)。


2. 今回税務調査が入り、現物給与は非課税ですが、家賃の支払いは必要経費としては認められないというものでした。
 税務署の主張
 ①他の従業員一人が1万円の住宅手当を支給されていること。
 ②借上社宅についての社内規程がなく、従業員の全員が借上社宅の存在を知らなかったこと。


3. 問題点
① 税務署の主張する店主貸ということは、必要経費を否認することになります。
 必要経費の定義については、仙台高裁で次のような判例があります。
 「所得税法37条1項の必要経費として総収入金額から控除するためには、客観的に見てそれが当該事業の業務と直接関係をもち、かつ業務遂行上通常必要な支出であることを要し、その判断は当該事業の業務内容など個別具体的な諸事情に即し社会通念に従って実質的に行われるべきである」と述べられております。
② 従業員全員に社内規程を作り、全員に周知徹底されなければ、必要経費として認めないとすれば、従業員に支払う賞与や退職金は社内規程や計算方法など明示しなければ必要経費として認められないことになります。

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1 事業所得の金額の………
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