コロナウイルス感染の影響で長期日本滞在となった米国法人の役員が米国法人から支給を受ける役員報酬等に対する日本での課税関係

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
●背景
・日本国籍の米国の法人役員。5年以上米国に居住、年に数週間程度日本に帰ることがあるが生活の基盤は米国。
・年に数回の講演の報酬で日本での所得が若干あるが、非居住者として申告していた。
・2020年については3月中ほどに来日、4月には出国を予定していたが、コロナの影響により9月末まで日本に滞在。2020年の日本の滞在日数は183日を超過した。
・日本にいる期間も米国の法人から労働の対価として報酬を得て生活している。
・自身の勤める米国法人からストックオプションの権利所有総数分の20%の権利を放棄する代わりに、2016-2020年の成功報酬としておよそ300万US$が12月に支払われることになった。


●質問
① 日本滞在中に、米国法人から受領した給与所得について、日本で申告の必要はありますか。
② 上記12月に受領する300万US$の収入について、日本で申告の必要はありますか。


●私見
 米国法人の役員であり、実質的な生活基盤が米国にあることから、本人は米国居住者・日本非居住者です。
 日米租税条約14条1項では、他方の国内(日本)で行われる場合には、他方の締結国で租税を課すことができるとされているものの、2項(b)(c)における要件の他方の締結国(米国)からの報酬を受け取っていることから、日本での課税はないと考えております。
本件①②ともに、日本では課税されず申告の必要はないと考えます。

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①について はじめに………
(回答全文の文字数:1924文字)