火災の被害に対する慰謝料の税務処理について

※ 事例の内容は回答年月日時点の情報に基づくものです
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[質問]
1 事案の概要
 A(男性80歳独居)の自宅とB(男性90歳独居)の自宅は隣接していた。
 令和5年4月にA宅から出火してB宅に類焼して双方の自宅は完全に焼失した。
 出火の原因は薪で風呂を焚いていたAがテレビの視聴で現場の管理を怠ったことであった。
 Bは建物に火災保険をかけておらず自宅の再建が困難なため、現在、子供宅に身を寄せている。
 長年Bと近所付き合いをしていたAはBに対する慰謝料として800万円を支払って自宅の再建に充てて欲しいと申し出てきた。
 このAからBに支払われる慰謝料(損害賠償金)の税務処理についておたずねします。
(弊職の意見)
 失火による損害賠償責任はその原因が「重大な過失」による場合以外は問われないことになっています。


民法 第 709 条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う
失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)
民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス


 本件について検討すると、失火原因である「テレビの視聴で現場の管理を怠ったこと」が重大な過失に該当しない限り、AからBへ支払われる金員は損害賠償金に該当しなくなり、所得税法上も非課税とならないと考えています。(贈与税課税?)

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1 法令の規定 所得………
(回答全文の文字数:1450文字)