新型コロナ禍の影響による家賃の一部猶予と免除

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
甲社 不動産賃貸業 12月決算
乙社 ライブハウス運営業 甲社賃貸物件にて営業


 この度、乙社から新型コロナウイルス感染症に伴う自粛要請により収入が減少したため支払家賃の減額要請がありました。
 甲社は7、8月分家賃について減額を認める方針ですが、その条件は合意書の内容とする予定です。
 合意書の内容は主に「2020年7、8月分家賃支払の20%(361,905円/月)分を契約満了時(2021年3月31日)まで猶予し、契約期間満了を条件に猶予家賃部分を免除する」となっております。
この場合の収益と費用の計上時期については以下のような考え方でよいでしょうか。


① 甲社今期(2020/12/31決算)の7、8月の受取家賃は、「国税庁 新型コロナウイルス感染症税務上取扱FAQ」により減額部分について寄付金とは取り扱われないので、減額後の家賃(1,809,524円-361,905円=1,447,619円/月)を計上する。(減額部分を未収として計上しない。)
乙社も減額後の家賃を費用として計上する。
 契約期間満了時(2021/3/31)まで乙社が中途解約しなければ甲社も乙社も何ら処理を行わない。
 契約期間途中で乙社が解約した場合はその時点で甲社は減額部分の受取家賃を計上し、乙社は地代家賃を計上する。
 →契約上猶予となっているが、確定している収益(返還を要しない部分)はあくまで減額後の金額であり、契約期間満了前に解約するかどうかは未確定のため。


 もしくは以下のように考えるべきでしょうか。


② 合意書の文面通りに契約満了時まではあくまで猶予である。従って両社は契約期間の間は未収未払で処理する。契約期間満了時に甲社は減額部分の債権放棄を行い、債権放棄損を計上し、乙社は減額部分を免除益として計上する。
 通常、合理的な理由のない債権免除は寄付金となるが、新型コロナウイルス感染症の影響による場合は災害の扱いになり「債権放棄損等」として損金算入可能となる。
 「相当の期間内」に処理しなければならないが、数ヶ月で新型コロナウイルス感染症が収束するとは考えられないのでその点は問題ない。
 契約期間途中で解約した場合については、両社は未収未払で収益費用を計上済みであるので何ら処理は必要ない。

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1 国税における新型………
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