定期借地権の解除に伴う建物の無償譲渡

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 当社は全国に25店舗を有する小売業を営む法人です。
 このたび、不採算店であるA店舗を閉鎖することとし、当該A店舗の建物を地主に対して無償譲渡し、土地の賃貸借契約を解消することを考えています。
 これまでの経緯は次のとおりです。
1 平成25年に当社は土地を事業用定期借地権で賃借し、A店舗の建物(取得価額3,000万円。以下「本件建物」という。)を建設した。現在の帳簿価額は2,000万円である。
2 しかし、A店舗は不採算店であったため閉店し、本件建物を賃貸して家賃収入を得ようとしたが、賃借人は現れない状況にある。
3 このまま借地契約が終了するまで10年間借り続けると年間300万円の賃借料と別途維持管理料がかかり、賃貸借契約解消時には本件建物の取壊費用が必要となる。
4 そこで、当社と地主との間で協議した結果、本件建物を現状のまま取り壊さずに地主に無償譲渡し、土地の賃貸借契約を解消することで地主の承諾を得ることができた。
 この場合、当該建物の帳簿価額は会計上「除却損」として処理するが、税務上は、本件建物を地主に贈与したものとして、当該除却損は寄附金として処理することになりますか。
 当社としては価値のない物件なので時価より低い価格(例えば100万円)で売買契約を締結し差額を売却損として処理することは可能でしょうか。当該価格については、10年間の定期借地上の建物であることや取壊費用を加味して価格の根拠を算定しようと思っています。鑑定士などにも依頼し時価の算定を依頼することも考えています。

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 本件建物の時価(定………
(回答全文の文字数:1713文字)