インフルエンザ予防接種費用の取扱い

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 甲社が行う役員及び職員の希望者全員へのインフルエンザ予防接種に関して負担した費用は、「福利厚生費」として法人税法上の損金に算入されるでしょうか。
 その場合、予防接種した役員及び職員は、給与所得課税されるおそれはあるでしょうか。
 また、役員及び職員の同居家族で希望者全員についても、インフルエンザ予防接種の自己負担額の半額(又は一定額)を会社負担とし、役員及び職員に支給(助成)することを検討しています。甲社が負担する費用は、「福利厚生費」として法人税法上の損金に算入されるでしょうか。
 その場合、同居家族が予防接種した役員及び職員は、給与所得課税されるおそれはあるでしょうか。


【事実関係】
 甲社は、日本国内で食品関係の製造業を営む会社です。工場と連結している事務所棟で合計100名以上が勤務しています。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大がさらに進んだ場合でも、自社工場での生産継続及び販売・事務活動を行い続けることが、食品供給の一助を担う自社の社会的責任と考えています。
 新型コロナウイルスとインフルエンザに同時感染する役員及び従業員が発生し、事業活動が停止してしまうことを懸念しています。
 そのため、今秋から役員及び職員の希望者全員へのインフルエンザ予防接種を行う予定です(昨年までは行っていません)。
 自社の産業医が、社内で勤務時間中にインフルエンザ予防接種を行う予定です。産業医へは直接甲社が費用の全額を支払う予定です(1人当たり3,600円の予定)。
 また、役員及び職員の同居家族が新型コロナウイルスとインフルエンザに同時感染した場合にも、役員及び職員の出勤に支障が出ることにより、事業活動が停止してしまうことを懸念しています。
 そのため、役員及び従業員の同居家族全員についても、インフルエンザ予防接種を推奨することにしています。
 役員及び従業員の同居家族については、同居家族の主治医等に支払ったインフルエンザ予防接種の領収証の提示を求め、役員及び従業員へ支払金額の半額(又は一定額)を支給(助成)することを検討しています。
【問題点】
 所得税法基本通達36-29では、「使用者が(中略)役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け(中略)た役員または使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。」と規定されています。
 役員及び職員の家族が受けるインフルエンザ予防接種の支払金額の半額(又は一定額)を、役員及び職員へ支給(助成)することが、課税しない経済的利益と言えるかご教示ください。
【関連法令】
 所得税法36
 所得税法基本通達36-29

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