自宅待機使用人に対する賞与の損金性

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 コロナ禍の影響により自宅待機(休職)の従業員に対して、給与と賞与を支給した場合の法人の取扱いについて、ご見解をお聞かせください。


(1) 概要
 衣服類の小売業部門があり、都心部に路面店を有しています。
 東京都に初めてコロナによる緊急事態が発令された際、店舗を一時閉鎖し、その後は予約制へ移行しました。
 社員であるA氏は、通勤時と接客時などの感染を懸念し、当社も社員を感染から守ることを目的に、自宅待機としました。
 その後も自宅待機(稀に出社もあり)を基本とし雇用契約を継続し、給与と賞与を支給しています。
 当社は雇用調整助成金の申請もしていますが、A氏の給与はその対象とし、社会保険労務士が申請をしています。
(2) 税務調査
 令和4年1月に税務調査があり、A氏に対する賞与は、損金へ算入できないのではないかと指摘を受けています。
 給与の損金性が認められ、賞与が認められない根拠の提示は受けていません。
 なお、就業規則には「労働が無い場合には給与を支給しない」との記載がある模様です(私はまだ確認していません)。こちらを根拠としてくる可能性が想定されます。
(3) ご見解をお聞かせ頂けますか。
 休職中の給料の有無は、法律に特段の定めがないため、給与の有無は会社が任意で決定すると理解しています。


 当社の給与規定はコロナ禍を想定したものではなく、コロナ禍という特殊な外部要因には対応していないと考えらます。ゆえに、自己都合のよる休職ではないと考えます。
 自己都合ではない場合、労働基準法第26条によれば平均賃金の6割以上を支払わないといけないと規定されています。


 仮に労働基準法第26条の要件を満たせたとした場合、6割以上の給与を支払った場合に、受取側では所得税が課税されると認識しています。
 ちなみにA氏への給与と賞与は、所得税の対象として課税しています。
所得税の対象となっているにもかかわらず、担当統括官による「法人税では損金性なし」という指摘に合理性はありますか。


 

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(1) まず、御質問………
(回答全文の文字数:943文字)