欠損等法人

※ 事例の内容は回答年月日時点の情報に基づくものです

[質問]

 同族会社である法人A社と法人B社の資本関係は、同族株主がA社株式を100%保有、A社がB社株式を100%保有する関係となっており、A社がB社株式を100%保有する関係は令和4年7月15日より生じています。同関係は、企業買収(M&A)により生じたものであり、それ以前に両者の資本関係はありません。

 B社は近年業績が低迷しており、公共入札資格の格付けも降格する中、直近では事業の撤退を前提にその規模を縮小しており、公共入札者の手続もしていません。A社が下請工事をB社へ依頼する際に、同事業の撤退の話が出たため、今回、買収から合併の案件が浮上しました。合併の直前において、B社はA社から下請工事のみを行っている状況となります。

 本件の買収から合併までの目的は、両社とも公共工事業者であり、B社の公共工事実績を引継ぐことにより、同実績を活用することでA社は現状より工事規模の大きい案件を取りそろえるシナジー効果を見込んでいます。また、B社の代表取締役を合併後にA社の常務取締役として迎え、使用人も全て引き継いでB社で行っていた業務内容をA社で引き続き行ってもらうこととなります。

 以上のような状況で、A社とB社の吸収合併(令和4年9月1日予定)を行う際に、被合併法人となるB社が有する繰越欠損金の引継ぎを検討しています。

 このような場合の欠損等法人に係る「事業を営んでいない場合」の該当性につき、ご意見お願いします。

【検討】

 欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用は、下記のいずれかに該当する場合に適用されます。

①事業を営んでいない場合

②事業のすべてを廃止する又は廃止見込みである場合

③他の者が欠損等法人の支配株式と債権を取得する場合

④上記①から③において、欠損等法人が自己を被合併法人とする適格合併を行い、また欠損等法人の残余財産が確定する場合

⑤特定役員のすべてが退任し、使用人の概ね100分の20に相当する数の者が退職する場合

 本件は、B社の事業をすべて引継ぐことから上記②に該当せず、上記③⑤の事由も生じていないため、上記①の適用可否を検討することとなります。

 特定指定日の直前において、B社は下請工事を行っており事業を営んでいるものと理解されますが、B社はA社からの下請工事のみを行っている状況であり、B社株式を100%保有するA社との関係上、形式的に事業を営んでいる状況を創出しているとみなされる懸念が思料されます。

 同下請工事は、B社の責任と裁量に基づき行われているものであり、他にも下請工事の引き合いがある中で、A社からの下請工事が最も利益率が高いため受注しており、経済的合理性のある取引となっています。

 以上より、B社は特定支配日の直前において「事業を営んでいない場合」には該当しないものと考えておりますが、いかがでしょうか。

 

[専門家からの回答]  ※税理士懇話会が顧問契約している専門家の一覧はこちら

 ご質問のB社はA社………
(回答全文の文字数:222文字)