債務免除されることによる株価上昇における課税関係

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 (株)甲不動産は資本金3千万円で、A(代表取締役)とAの妻B(取締役)が株主で発行済株式はそれぞれ60%と40%を所有します。
 同社の事業はAの母親が持つ土地の上に、賃貸マンションを建設したもので、すべて居住用貸室に充て運用しています。
 同社の3月期の決算後の時価評価は、純資産価額で1株当たり△26,500円と計算され評価ゼロ円とされます。
 同社は母親からの借入債務がありますが、現在5,000万円(マンションの建設資金の一部に充てたもの)の残高があります。なお、母親は債権者ですが、株主ではありません。
 (株)甲不動産は法人税の繰越欠損金は3,000万円ありますので、Aの母親からの借入金の一部2,400万円を債務免除しようと考えています。債務免除をした結果は、純資産価額で1株当たり△2,600円と計算され評価ゼロ円となります。
 そこで、
①株式の時価はゼロ円のままですが、債務免除を行えば、1株当たりの価額の増加分として△26,500円と△2,600円の差額23,900円について、A及びBに対して母親からの贈与があったとして贈与税が課されるのでしょうか。
②甲不動産の株式は債務免除後もゼロ円の評価額であるため、A及びBに対して贈与税の課税は認識しないのでしょうか。


 相続税基本通達9-2によれば、「債務の免除により株式の価額が増加したときはその株式がその株式の価額のうち増加した部分に相当する金額を...贈与によって取得した者として取り扱う」とあります。この場合の株式の価額が債務免除前も免除後も上記の例のようにゼロ円であるので、増加部分はないものとして②の取扱いでよいでしょうか。

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 相続税法第9条は、………
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