生活費にあてるためにした贈与と死亡後残金の相続税における考え方

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
1. 事実関係
(1) 被相続人は認知症であっため成年後見人である弁護士が被相続人の預貯金等を全て管理していました。
(2) 相続人は妻と娘の2名。相続開始の直前において、被相続人は老人ホームに入所しており、妻は被相続人と住んでいた自宅に1人暮らしをしていました。
(3) 成年後見人は、被相続人の預金口座から毎月10万円を妻が管理する妻名義のA銀行の預金口座に送金し、妻はA銀行の預金口座から現金を引き出して、引きだした現金を毎月の妻自身の生活費に充てていました。(引きだした現金は生活費として全て費消していました。)
(4) 妻のA銀行の預金口座には被相続人からの毎月10万円の入金のほか妻自身の年金も入金されていました。また、妻のA銀行の預金口座の預金口座から妻が住む自宅の光熱費、電話代の支払い(口座振替)を行っていました。
(5) 妻は被相続人が亡くなる3カ月前に脳溢血で倒れ入院し、病院から自宅に戻ることなくリハビリ施設に入所しました。
 入院後、妻はA銀行の預金口座からの現金引き出しができなくなっておりましたが、成年後見人からの送金は継続していたため、相続開始時点において妻のA銀行の預金口座には「月10万円×3カ月分相当額」が引き出されずに残ったままの状態になっていました。


2. 質問
(1) 扶養義務者相互間において、生活費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち、通常必要と認められるものについては贈与税は課税されないことになりますが、今回のケースにおいて、被相続人から妻への贈与が非課税になる時期は、どのタイミングと考えればよいでしょうか。
a.妻のその月の生活費に充てる目的のために、成年後年人によって被相続人の預金口座から妻のA銀行の預金口座に送金された時
b.妻がその月の生活費に充てるための現金をA銀行の預金口座から引き出した時
c.妻が上記bで引き出した現金を実際に生活費として費消した時
(2) 上記1(5)記載のとおり、相続開始時点において妻のA銀行の預金口座には「月10万円×3カ月分相当額」が引き出されずに残ったままの状態になっていたと考えられます。
?(厳密には、妻自身の年金も入金や光熱費の支払いもあるため、「月10万円×3カ月分相当額」がそのまま残っていたわけではないのかもしれませんが・・)
金額は小さいのですが、この「月10万円×3カ月分相当額」について、被相続人の相続税申告において、どのように処理するべきか悩んでおります。次のような方法を考えてみたのですが、贈与税の非課税との関係がうまく整理できません。


a.妻の口座に振り込まれた時点で非課税であるから被相続人の相続税申告では計上するものはないと考える。
b.「10万円×3カ月分相当額」については被相続人から妻に対する「預け金」であると考え、相続財産に計上する。
c.「10万円×3カ月分相当額」については実際に生活費に充てられていないため贈与税は非課税にならない。したがって生前贈与加算の対象とする。

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1 扶養義務者相互間………
(回答全文の文字数:464文字)