遺留分減殺請求と相続税の申告納税義務について

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 被相続人甲は、相続人A(子)にすべての財産を相続させる旨の遺言書を残して死亡しました。
 Aは遺言書に基づき、平成30年3月に期限内の申告を行いました。A以外の相続人はB、C、Dであり、いずれも甲の子(うち二人は養子)です。B及びCは遺留分の減殺請求の調停をおこし、令和2年中に調停により、解決の見込みです。
 そこで、次の質問をいたします。
 仮に甲の課税相続財産が32億円として、B及びC両者(B及びCは夫婦であり、Cは養子)に合計 8億円を遺留分として支払うとします。両者に5億円を支払い、相続税分を仮に3億円としてAが負担する調停に基づく遺産分割をした場合、B及びCの相続税の申告納税義務はどうなりますか。
 当方としては、Aの更正の請求及びBおよびCの相続税の(修正)申告をしないスキームを検討しています。
 相続税法35条第3項(相続税法の特則により更正の請求に基づき更正があった場合の特例)では「税務署長は・・・遺留分の減殺請求、・・・があったことにより、法第32条第1項の規定による更正の請求をした場合において、その更正の請求をした者の被相続人から相続または遺贈により財産を取得した他の者について・・・その事由に基づいて、その者の課税価格又は相続税額を更正し又は決定することに」なっている。したがって、Aが更正の請求をしなければ、このようなスキームは可能であると考えています。
 このようなスキームで課税上のリスクはありますか。
 また、Dは遺留分の権利を放棄していますが、そのことでAに対して課税上の問題は発生しないと思いますが、そのような考えでいいですか。

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1 相続税の納税義務………
(回答全文の文字数:478文字)