介護を債務とする負担付贈与

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 令和2年4月に被相続人甲(93歳)の相続が開始しました。
 甲は、姪(甲の亡妻の妹の子)である乙に遺産の全部を遺贈する旨の遺言書を平成27年に作成していました。
 甲は、身体的機能が不全であることから、公的介護の適用が受けられるにもかかわらず公的介護を拒否し、乙からの介護を受けることを希望したことから、平成26年から乙の介護を受けていました。
 乙は、それまで介護ヘルパーを定職としていましたが、それを辞めて甲の介護を負担することになりました。
 甲は、乙に金銭の給付をしています。平成26年に200万円、同27年に150万円、同28年100万円、同29年50万円の計500万円です。同30年から、甲が自身で預金口座から出金することがままならないようになったことから、今後の甲の生活費等に充てるための資金として現金1,000万円を甲が乙に預託しました。
 乙は、甲の了解を得て、その預託金から甲の生活費や医療費及び乙が甲の自宅や病院に通う費用(合計300万円)並びに自らの生活費に使いました。相続開始の時には、全額費消し、残金はありませんでした。
 相続税の申告に当たり、甲が生前に乙に給付した金銭500万円及び平成30年に預託した1,000万円の内、甲の生活費や医療費に充てた300万円の残額700 万円の合計1,200万円をどのように取り扱うことになるのでしょうか。
 乙は、甲と生計を一にしていない3親等の姻族であることから、甲の扶養義務者に該当しません。
 また、乙が甲の介護を負担したことを考え合わせると、単なる資金贈与と取り扱うには、納税者感情にそわないものがあると考えられます。


 

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 甲が乙に給付した金………
(回答全文の文字数:821文字)