債務の弁済と贈与税(資力喪失の場合)

※ 事例の内容は回答年月日時点の情報に基づくものです

[質問]

 相続税申告にあたり、被相続人及び配偶者の過去の預金通帳を確認したところ、次の取引があることがわかりました。

 被相続人の息子が勤務先の会社に対して損害を与えてしまい、賠償金として総額約3176万円を支払うことになり、3回に分けて支払っていますがその内訳は次のとおりです。

1. 1267万円は被相続人の妻からお金を借りて会社に支払った。なお、その後息子の所有マンションを売却し、その資金で被相続人の妻への返済は済んでいる。

2. 1589万円は被相続人の妻名義の口座から支払った。

3. 320万円は今後息子自身が毎月約2万円ずつ返済することで会社と合意。

 

 上記2の1589万円を被相続人の妻名義の口座から支払ったことについては、次の理由によります。

・被相続人の息子自身の預金残高が会社への返済当時1万円に満たない金額であり、勤務先を退職したことから支払うお金がなかったこと

・会社への賠償金支払いに関する話し合いの場には被相続人が同席し、今後の320万円の返済に関して、被相続人は連帯保証人となっていたこと

 相続税法8条には「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その債務者の扶養義務者によつて当該債務の全部又は一部の引受け又は弁済がなされたとき」贈与税は非課税となる旨の規定がありますので、上記2の返済について贈与税は非課税と考えてよろしいでしょうか。

 なお、上記の返済は被相続人の妻名義の口座から行っていますが、この口座はへそくりの蓄積(被相続人の妻は結婚以来専業主婦)と被相続人の妻の父親の相続で取得したお金が混在している口座となっているため、残高のうちいくらかは被相続人の名義預金と考えられるように思います。

 

[専門家からの回答]  ※税理士懇話会が顧問契約している専門家の一覧はこちら

 1589万円の債務………
(回答全文の文字数:1099文字)