更正の請求による小規模宅地等の特例適用の可否
相続税 小規模宅地の特例[質問]
平成29年に亡くなった被相続人Aには、同居の子(甲)と別居の子(乙)の二人の相続人がいます。Aの遺言書には「すべての財産を甲に相続させる。」と記されていましたが、相続税申告期限前に乙が遺留分減殺請求を申し立てたこと等から、甲は申告書を提出せずに相続税申告期限を徒過しました。
その後、調停が行われている最中に、甲が税理士Xに相談し、遺留分減殺請求によって不動産は共有状態になったと判断してか、全財産を甲が取得したものとして、しかし、小規模宅地等の特例はせず、期限後申告を甲単独で行いました。
その後調停が整い、遺言書は有効、不動産も甲単独で相続し、現金による代償金の支払いをすることで決着し、その後、乙は税理士Yに申告を依頼しました。
乙は期限後申告となりますが、相続税法第30条第1項の規定より無申告加算税は課されず、しかし、甲が相続する土地で小規模宅地等の特例は適用できるとして、申告書を提出する予定です。
なお、甲の申告では「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出はしていないと思われ、従って、今後甲が提出することになる更正の請求では、①当初申告で既に適用を選択していないため、小規模宅地等の特例は適用できないとする考えと、②小規模宅地等の特例の適用地は他に選択の余地はなく、更正の請求で、「選択替え」をするわけではないとして、小規模宅地等の特例の適用が認められるという考え方があると思います。
もし①だとするならば、小規模宅地等の特例を適用した申告と、適用しない申告と、甲と乙で異なった申告が出されることになりますが、そのようなこともあり得るのか、ご教示頂けたらと存じます。
なお、甲が小規模宅地等の特例を適用できるかどうかの、その他の要件は満たしている、という前提でお願いします。
国税庁HPの質疑応答事例「遺留分減殺に伴う修正申告及び更正の請求における小規模宅地等の選択替えの可否」も読んで参考にしてはいます。
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