家なし親族(相続人が長期入院していた場合)
相続税 小規模宅地の特例 特定居住用宅地等[質問]
【事実関係】
・相続人Aは、以前夫所有の自宅に居住していた。
・その後、相続人Aは精神的な病で、十数年前より継続して精神病院に入院している状態にある。一度も退院したことはない。
・相続人Aは、平成18年より成年被後見人となっている。
・平成27年 夫が死去し、夫所有の自宅不動産を相続した。
・平成29年 夫より相続した自宅不動産を売却した。住民票の住所とする場所がなくなったため、長女夫婦共有名義の自宅を住民票の住所とした。
・長女夫婦の自宅には相続人Aは一度も住んだことはなく、荷物などもない。
【質問】
今般、相続人Aの兄が死去し、唯一の相続人であるAが兄の不動産を相続することとなったが、この場合、特定居住用宅等に該当するものとして小規模宅地の特例の適用を受けることができるか。
・特定居住用宅地等の適用については、取得者の要件があり、別居親族が取得する場合には、「相続以前3年以内に日本国内にある自己の三親等内の親族の所有する家屋に居住したことがないこと」が要件となっています(措法69の4③二)。
・また、居住用宅地等の該当性については、被相続人側の要件となりますが、居住の用に供することができない事由として政令で定める事由により相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合においても、特定居住用宅地等の適用は認められるとされており、その範囲は養護老人ホーム等に入居していた場合などとその施設等は限定され(措令40の2②)、病院はその範囲に入らないと理解しています。
・住民基本台帳法においては、「医師の診断により1年以上の長期、かつ、継続的な入院治療を要すると認められる場合を除き、原則として住所は家族のもとにある」とされており(新訂 住民基本台帳法逐条解説 日本加除出版㈱発行より)、裏を返せば、「医師の診断により1年以上の長期、かつ、継続的な入院治療を要する場合には、住所は家族のもとにない」と解することができます。
当該相続人Aの住所地を、長女夫妻の自宅としているのは、精神病院を住民票の住所とすることができないことが理由であり、実際に居住したことがない長女夫妻の自宅を「三親等内の親族の所有する家屋に居住している」と判断するには違和感があり、見解をお聞かせいただければと思います。
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