被相続人の愛人への相続税の申告内容の開示の要否

※ 事例の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[質問]
 会社の経営者が昨年亡くなり相続税申告を予定しています。
 不動産や同族会社の株式の他、同族会社からの死亡退職金があり、遺族である娘2人が受け取りました。この被相続人には愛人Aがおり、生前に「自分に万が一何かあった場合には、死亡退職金はAが受け取るものとする」という誓約書をAと連名で書いていました。この誓約書がこのたび弁護士を通じて当該同族会社に送付され、退職金の支払いを求められています。
 相続税の申告期限が近いことから、一旦は受け取った死亡退職金ありきで相続税申告を行い、今後の交渉(話し合いで解決できなければ訴訟となり長期化するかもしれません)の結果、この退職金を全額会社に返還せざるを得なくなった場合には、相続税の更正の請求をすることを考えています。
 更正の請求をする際に、二人の娘は税の還付を受けることとなりますが、一方Aは事後的に相続税の負担が生じることとなり、2割加算の対象ともなります。
 相続税の申告内容の開示をこちらが拒否しても、そのことによってAが無申告になったりすれば、Aの未納税額の連帯納付義務がこちらに発生することとなるため、相続税の申告内容は積極的にAに開示すべきなのではないかと考えました。しかし遺族は、相手に遺産の内容を教えたくないと考えています。あるいは別の考え方としてこちらが更正の請求をすると直ちにAに国税から決定通知が送付されることになるのであれば、Aへの税額通知は国に任せて、こちらから申告内容などを知らせることはせず放置しても構わないのではないかとも考えられます。
 遺族から委託を受けた税理士として正しい行動はどのようなものかご教示ください。

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1 被相続人とAとの………
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