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第182回 長期割賦販売等に係る延払基準の廃止と経過措置の内容 ~「平成30年度税制改正大綱」により明らかに~

今月のキーワード ―2018年2月―
公認会計士 太田達也

■延払基準の廃止と経過措置
平成30年度税制改正大綱には、長期割賦販売等に該当する資産の販売等について延払基準により収益の額および費用の額を計算する選択制度は、廃止すると記述されています。ただし、併せて経過措置が記述されている点に留意が必要です。すなわち、平成30年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人について、平成35年3月31日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額および費用の額を計算することができることとするとともに、平成30年4月1日以後に終了する事業年度において延払基準の適用をやめた場合の繰延割賦利益額を10年均等で収益計上する等の経過措置を講ずると記述されています。


■経過措置の内容
経過措置は、平成30年4月1日前(=平成30年3月31日以前)に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人について適用されるものです。
平成35年3月31日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額および費用の額を計算することができるとされる一方において、平成30年4月1日以後に終了する事業年度において延払基準の適用をやめた場合の繰延割賦利益額を10年均等で収益計上するとされています。
「平成30年4月1日以後に終了する事業年度において」とされており、「平成30年4月1日以後に最初に終了する事業年度において」とはされていません。ということは、3月決算法人を前提としますと、平成31年3月期に適用をやめることもできるし、平成32年3月期、平成33年3月期、平成34年3月期または平成35年3月期のいずれかの事業年度に適用をやめることもできます。いつ適用をやめるかは、法人の任意となります。適用をやめた事業年度の終了時点で残っている繰延割賦利益額を、翌事業年度以後の各事業年度において10年均等で収益計上できることになります。


■平成35年3月期まで延払基準を適用した場合
経過措置により、3月決算法人の場合は、平成35年3月期まで延払基準を適用することができます。平成35年3月期まで延払基準を適用した場合であっても、平成35年3月期の期末に残っている繰延割賦利益額を翌事業年度以降10年均等で収益計上することになる点に留意する必要があります。


■会計との差異
「収益認識に関する会計基準」を適用する法人は、原則として、適用初年度において新しい会計処理を過去の財務諸表に遡及適用することになります。遡及適用した場合は、税効果を調整のうえ、適用初年度の期首の利益剰余金にその時点の繰延割賦利益額が加算されることになると考えられます。そのため、適用初年度前の繰延割賦利益額が、適用初年度以後の各事業年度において改めて収益計上されることはありません。したがって、税務上の経過措置を適用して、平成35年3月31日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額および費用の額を計算する場合は、別表4の申告調整により延払基準による所得を反映することになると考えられます。