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第224回 中古資産の簡便法が適用できないケース~事業の用に供するにあたって改良等を行った場合~

■中古資産の耐用年数
 税務上の償却限度額を算定するときに設定しなければならない法定耐用年数は、あくまでも新品を取得した場合を前提としたものです。中古資産を取得した場合は、新品と同じ耐用年数を用いることを強制することは不合理と考えられますし、また、中古資産によって経過年数も一様ではありませんから、一律の年数を設定することにも問題があります。そこで、中古資産については、残存耐用年数(その資産をその事業に供した時以後の使用可能期間)を見積もることが認められています(耐令3条1項1号)。これを「見積法」といいます。ただし、残存耐用年数を見積もるかどうかは法人の任意であり、強制されるものではないことから、法定耐用年数を用いることも認められます。

■中古資産の簡便法
 見積法を適用する上で、使用可能期間を見積もることに困難を伴うケースも多く、その年数を見積もることが困難なものについては、次のように一定の計算式で算定した年数によることができるとされています(耐令3条1項2号)。これを「簡便法」といいます。

① 法定耐用年数の全部を経過した資産
  法定耐用年数×0.2=見積残存年数
② 法定耐用年数の一部を経過した資産
  (法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2=見積残存年数
  (1年未満の端数が生じたときは、これを切捨て、その年数が2年に満たないときは最低2年とします。)

 実務上は、見積りに困難を伴うことが多いため、この簡便法を使うケースが多いと思われます。

■事業の用に供するにあたって改良等を行った場合の取扱い
 法人が中古資産を取得した場合において、当該減価償却資産を事業の用に供するにあたって支出した資本的支出の金額が当該減価償却資産の再取得価額の50%相当額を超えるときは、当該減価償却資産については、法定耐用年数によるものとされます(耐通1-5-2)。この場合は、見積法も簡便法も認められません。
 再取得価額とはその時点における新品価額であり、資本的支出の金額が当該減価償却資産の再取得価額の50%を超える場合には、その中古資産は新品と変わらないとみることになります。
 また、取得した中古資産を事業の用に供するにあたり、その資産について支出した資本的支出の金額がその資産の取得価額の50%相当額を超える場合は、先に説明した簡便法を適用することは認められません(耐令3条1項但書き)。次の算式で算定される見積残存年数によることが認められます。この取扱いは、再取得価額ではなく、取得価額(実際の取得価額)の50%を超える場合のものですが、再取得価額の50%相当額を超えるときを除き、認められます(耐通1-5-6)。

名称未設定-1.png

 結果的に、中古資産を事業の用に供するにあたって改良等を行った場合の耐用年数は、次の3通りに分かれます。

名称未設定-2.png

■事後的に資本的支出を行った場合の取扱い
 上記の取扱いは、あくまでも中古資産を取得して、事業の用に供するにあたって改良等の支出を行った場合のものであり、事業の用に供した後に事後的に改良等を行った場合には、適用されません。中古資産に簡便法を適用している場合は、そのまま簡便法を継続することになりますし、その資本的支出についても簡便法を適用することが認められます。詳しくは、拙著『「固定資産の税務・会計」完全解説(第7版)』(令和3年7月中刊行予定)をご参照いただければ幸いです。

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2021年08月05日

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