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第208回 償却費として損金経理をした金額

■償却費として損金経理した金額とは
 法人税法上、減価償却資産については、償却費として損金経理をした金額のうち償却限度額に達するまでの金額について、損金算入が認められます。確定決算において、償却費として費用計上することを本来は前提にしています。 「償却費として損金経理した金額」については、法人が償却費の科目をもって経理した金額だけでなく、償却費以外の科目で経理した金額であっても、一定のものについて償却費として損金経理をした金額とみなして取り扱うものとされています。

■償却費として損金経理をしたものとみなして取り扱われるもの
 一定のものとして、法人税基本通達7-5-1に次のものが示されています。これらは、法人が償却費以外の科目で経理した金額であっても、その性質上償却費として損金経理をしたものとみて差し支えないものであるという理由から、税務上償却費とみなして取り扱われるものです。

・ 修繕費として経理した金額のうち、資本的支出に該当するものとして損金不算入となったもの
・ 減価償却資産に係る評価損または除却損で、損金不算入とされたもの(減損損失を含む)
・ 少額な減価償却資産(おおむね60万円以下)または耐用年数が3年以下の減価償却資産の取得価額を消耗品費等として損金経理した金額 ・ 減価償却資産の取得価額に算入すべき付随費用の額のうち原価外処理した金額
・ ソフトウエアの取得価額に算入すべき金額を研究開発費として損金経理をした金額
・ 圧縮記帳において圧縮限度額を超えて帳簿価額を減額した金額
・ 無償または低い価額で取得した減価償却資産につきその取得価額として法人の経理した金額が法人税法上の取得価額(法令54条1項)に満たない場合のその満たない金額


■償却超過額の処理

 上記に列挙された償却費以外の科目で経理したものについては、税務上の償却限度額を超える場合が多いと考えられます。償却超過額については、別表4で加算(留保)し、別表5(1)の記載が必要になるだけでなく、別表16の「減価償却の計算に関する明細書」に償却超過額を記載して、翌事業年度以降に繰り越す記載が必要になります。

 その場合、翌事業年度以後の各事業年度に償却不足額が発生しますので、償却不足額について「償却超過額認容」として別表4で減算を行うことになります。そのとき別表5(1)および別表16の記載も併せて必要になります。

■法人税基本通達7-5-2の取扱い
 例えば80万円の減価償却資産を消耗品費として経理した場合など、上記に該当しないものであっても、法人税基本通達7-5-2の取扱いにより、確定申告書または修正申告書に添付する減価償却の計算に関する明細書で金額を記載して申告調整を行っていれば、償却費として損金経理をした金額と認められます(法基通7-5-2)。

 また、贈与により減価償却資産の取得価額の全部を資産に計上しなかった場合、法人税基本通達7-5-1が適用されることはなく、申告調整をしなければ償却費の損金算入は認められません。

 ただし、この通達は、①取得価額を構成しないものと誤認されやすいもの(付随費用、資本的支出または低額取得の場合の時価との差額)、②減価償却と同じ効果をもつもので、仮にその損金算入が認められないとしたならば、当然に償却したと認められるもの(圧縮超過額、除却損または評価損等)を対象としたものであるため、外注費や仕入勘定で経理している場合には、償却費として損金経理した金額とは認められず、全額が否認されることになります(減価償却関係質疑応答集(東京国税局TAINS 償却事例東京局0064)平成23年6月)。