社会保険ワンポイント

社会保険に関する旬のトピックスや、注意すべき項目などについて、わかりやすく解説するワンポイントコラムです。(毎月更新)

新36協定書の注意点

新年度が始まり、来月からの新元号も「令和」と決まりました!新卒を迎えられた職場では、新入社員研修や労働社会保険手続などで大忙しのことと思いますが、労働基準法関係の各種協定書の対応は大丈夫でしょうか?今年度は特に4月1日から36協定書の新書式が加わっていますので、協定の締結や労基署への届出忘れがないよう、下記の点に気を付けてください。

どの種類の協定書を使用するか

4月1日以降に締結する36協定書の書式は新様式となりますが、この新しい書式を使用するのは大企業のみであり、中小企業は原則として従来までの旧様式を来年3月31日まで使用、来年の4月1日以降の新たな締結分から新様式となります(中小企業でも新様式の使用はできますが協定の基準は法改正前の内容)。

そして新様式は一般的には「特定条項なし(様式9号)」と「特定条項あり(様式9号の2)」の2種類が中心(下表A、B)で、その他に「新技術・新商品等の研究開発(様式9号の3)」、「建設、自動車運転者、医師、製糖業者等(様式9号の4)」向けの様式等があります。

様式番号

特徴

A

特別条項なし

様式9号

旧様式に近いがチェックボックス欄あり。

B

特別条項あり

様式9号の2

2枚組。特別条項に関する内容は2枚目に集中。

C

新技術・新商品等の研究開発

様式9号の3

上限規制の適用除外業種。ただし健康および福祉を確保するための措置は必要。

D

建設、自動車運転者、医師、製糖業者等

様式9号の4

適用猶予期間中の業種。2024年4月から上限規制の対象となる予定。

上記のように今年の4月1日以降の1年間は従来の旧様式に複数の新様式が加わりますので、この中から事業規模、特別条項の有無、業種によって選択して使用することになります。


新様式の主な変更点1

39807d4127b678b3c8cb398660ab755f_s.png新様式は上記の種類に分かれますが、まず、共通の変更内容を確認しておきましょう。新様式A~Cは右上(特別条項ありの場合は1前目)に、労働保険番号と法人番号を記入する欄がある他、延長することができる1日、1箇月、1年を超える時間について「法定時間を超える時間数」と「所定労働時間を超える時間数(任意)」を書く欄があります。その事業所の所定労働時間が法定労働時間と同じであれば、超える時間も各々同じになりますが、例えば1日7.5時間の事業所で8時間を超える残業上限を2時間と定めた場合、法定時間超は2時間ですが所定労働時間超は2.5時間になります(所定時間超の欄については任意ですので未記入でも可)。


新様式の主な変更点2

01d05c18d51914f27270122b38890e69_s.png次に法改正により、労働時間の上限については単月で100時間未満(休日労働含む)、2~6箇月の各平均で80時間以下(休日労働含む)、と定められましたが、様式A、Bについてはこれを確認したことの「チェックボックス」欄が新設され、必ずレ点を記入することが必要となりました。ここをうっかり忘れると労基署で受理されない可能性が高いですので注意が必要です。

また様式B、Cにおいて1ヶ月45時間、1年360時間の限度時間を超えて労働させる場合、「労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」として、該当する番号と具体的内容の記載が必要となります。注意しなければならないのは、ここに記入した措置についてはその実施結果について、当該期間及びその後3年間会社で保存することが義務付けられました。「とりあえず記入しておけば何とかなる」というものではありませんので、担当の方は会社全体としての意見を取りまとめ、決定することが必要になるでしょう。


協定期間の途中で再締結や変更はできるか

上記のような点に注意しながら協定を締結し、労基署に提出するわけですが、36協定の期間の途中で「内容を変更したい」というご希望をたまに聞くことがあります。これについては通達で「期間の途中で36協定を破棄・再締結したり、対象期間の起算日を当初の協定内容から変更することは、原則認められない」という主旨の通達が出されています(基発1228第15号平成30年12月28日)。


まとめ

36協定は協定を締結・提出することはもちろんですが、協定内容をしっかりと守ることが重要です。特に時間外労働の上限規制に違反した場合には、6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金ですのでご注意ください。