社会保険ワンポイント

社会保険に関する旬のトピックスや、注意すべき項目などについて、わかりやすく解説するワンポイントコラムです。(毎月更新)

無期雇用転換における継続雇用の高齢者についての特例

img_onepoint_0064_01.jpg寒い日が続いております。先月は都心でも積雪があり、交通機関は大混乱となりました。事務担当者の方は油断せず引き続きご注意いただきたいと思います。さて、昨年秋に平成30年4月から対象者が発生する「無期雇用転換ルール」についてポイントを記載させていただきましたが、その中の継続雇用(定年再雇用)者に対する無期雇用転換の例外ルール(第二種計画認定・変更申請書、以下「第二種計画」とする)について「気になるので詳細を教えてほしい」という要望が数多くあるので、今回はこの第二種計画にスポットをあててお伝えしたいと思います。

第二種計画の対象者とは
無期転換制度は、労働契約の期間に定めがある「有期労働契約者」が、1回以上の更新をして通算した期間が5年を超えて繰り返し契約することが見込まれた場合、その方が契約期間の満了までに「期間の定めのない労働契約(無期契約)」を申し出たときは、会社はこの申し込みを承諾したものとみなされる制度です。この対象者は通常、「パート社員」や「フルタイム有期契約社員」を連想しますが、60歳定年後にそのまま継続雇用(定年再雇用)となった方が、1回以上の更新をして通年5年を超えて雇用された場合でも権利が発生してしまいます。この継続雇用の方が無期転換権を行使された場合、すでに定年を超えていますので70歳でも80歳でも「文字通りの無期雇用」となり、大きな影響が予想されます。

対象者の分かれ目
img_onepoint_0064_02.jpg対象者発生の分かれ目は「5年以内」か「5年を超える」かです。60歳定年後1年更新で65歳きっちりで退職されていれば「5年以内」ですので無期転換権は発生しませんが、「この方は優秀な人材なので65歳を過ぎてももう1年」という雇用の仕方をしている場合や、定年は60歳誕生日だが継続雇用(定年再雇用)の終了は65歳の誕生日を経過した年度末まで、という場合には無期転換権が発生します。人材が不足気味の中小企業の方が対象となるケースが多いように感じられます。

第二種計画の効力
ただし、これには特例があります。上記のように5年を超える継続雇用(定年再雇用)者に対して「特性に応じた雇用管理に関する措置」を行うことを条件に「第二種計画認定・変更申請書」を添付資料と共に管轄都道府県労働局(管轄労基署経由でも可)に申請し、認定された場合、認定後は5年を超えて雇用されても無期転換権は発生しません。

雇用管理に関する措置とは
今回の申請が認定されるには「第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置」として、①高年齢者雇用推進者の選任、②職業訓練の実施、③作業施設・方法の改善、④健康管理、安全衛生の配慮、⑤職域の拡大、⑥職業能力を評価する仕組み、⑥資格制度、専門職制度等の整備、⑦職務等の要素を重視する賃金制度の整備、⑧勤務時間制度の弾力化、のうちのいずれかの実施が必要不可欠です。いずれか一つでよいので、例えば①高年齢者雇用推進者の選任、だけでも構いません。ただしこの推進者は「作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務担当者」であるため、労務管理の経験があり、ある程度の権限がある人を選任するのが妥当です(その他の措置等については行政によるパンフレット「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」に記載があります)。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000075676.pdf

申請書の書き方と添付書類
第二種特例の申請は上記パンフ内にもある「第二種計画認定・変更申請書(様式第7号)」を使用します。この様式の1「申請事業主」は、申請する会社名称・所在地、等を記入。2「第二種~雇用管理に関する措置」には先ほどのいずれかより実施する措置にレ点。①高年齢者雇用推進者の選任、を選択した場合には、ハローワーク提出済みの「高年齢者雇用状況報告書」、または新たに「任命書」や「辞令」等を作成し添付します。最後に3「その他」では、「法第9条の高年齢者確保措置を講じている」にレ点の後、「65歳以上の定年の引上げ」または「継続雇用制度の導入」+「希望者全員」or「労使協定による対象者を限定する基準」の該当する制度にレ点し、就業規則の労基署受理印のある表紙と定年のページ、そして継続雇用(定年再雇用)等の規程のコピーを添付します。なお、協定により対象者を限定する基準を採用している場合には、『平成25年3月31日以前に締結した協定書のコピー』を添付する必要があります。

注意点
今回の第二種特例の認定後は、すでに定年を迎えていた社員にも対象になりますが、すでに無期転換権を行使している者は対象になりません。また、今後は労働条件通知書等で「無期転換権は発生しない」旨の記載が必要となります。お当たりのある事務担当者の方は早めにご対応ください。