今月の実務の動き(人事労務)

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「雇用類似の働き方に関する検討会」報告書について

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今年(平成30年)3月30日に、厚労省傘下の「雇用類似の働き方に関する検討会」が報告書を策定しました。
同検討会の目的は、「雇用」と「自営」の中間的な働き方をする者(雇用類似の働き方をする者)の実態を把握するとともに、それらの者に対する法的保護の在り方を検討することです。

「雇用」の典型例は、会社と雇用契約を締結している者であり、「自営」の典型例は、起業家等でしょう。その中間に位置する者としては、個人請負の人が考えられます。たとえば、プロダクションに所属する俳優または所属せずフリーで働く俳優、出版フリーランス、フリーのテレビディレクター、映像制作者、個人配送業者等々です。

これらの者に対して、現状何らの法的保護もないというわけではありません。独禁法や下請法の適用があります。ただし、個別の契約内容やその決定・変更・終了に関する詳細な保護規定はありません。独禁法は自由かつ公正な競争の促進を目的とした法律であるため、労働保護法規のように個々人の保護を直接の目的としたものではないからです。そこで、「雇用類似の働き方をする者」に対しても、労働保護法規に準じた法的保護の在り方の是非が検討されます。同検討会報告書は、今後検討すべき法的保護の在り方として、以下の項目を例示しています。

・契約条件の明示
・契約内容の決定・変更・終了のルールの明確化、契約の履行確保
・報酬額の適正化
・スキルアップやキャリアアップ
・出産・育児・介護等との両立
・発注者からのセクシュアルハラスメント等の防止
・仕事が原因で負傷しまたは疾病にかかった場合、仕事が打ち切られた場合等の支援
・紛争が生じた際の相談窓口等
・その他(発注者とのマッチング支援、社会保障等)

ただし、「雇用類似の働き方をする者」と一口に言っても多種多様な働き方をしている者がおり、一律に同様の保護を及ぼすことが妥当かということや、どのような定義に基づき「雇用」や「自営」と区別すべきであるかといったことが問題になります。

自営を選択するメリットの一つとして、クライアントから指揮命令を受けない、といういわば働き方の独立性の観点が挙げられます。一方で、これまで「自営」として括られていた一部の者に対して、「雇用類似」の者として法的保護を及ぼす場合、その反面として働き方の独立性にも影響を与えることが考えられます。そのため、経済的な独立性が認められる者に対しては、過度な法や行政による規制を及ぼすべきではないでしょう。