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独立公認会計士インタビュー『わたしの働き方』フェムトパートナーズ ゼネラルパートナー,磯崎哲也事務所代表 磯崎哲也氏

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【編集部より】
 監査法人以外の場で活躍する公認会計士の方々に,これまでのキャリアや今の働き方などについて聞く本コーナー。今回は,起業支援等のコンサルティングを手掛け,「世界で活躍するスタートアップを出したい」という夢を掲げる磯崎哲也氏に話を聞いた。

公認会計士を目指した理由を教えてください。
 長銀総合研究所に新卒で入社し,公認会計士だった上司に影響を受けました。企業に対する戦略やシステム等をアドバイスしていたのですが,その上司から,「会計は経営の基礎だから,簿記二級をとれ!」と言われ,「簿記二級よりは...」と思って,会計士試験を受けました。

──その後のキャリアを教えてください。
 90年代中盤にインターネットが商用化されたので,「これはすごい時代が来る」と確信しましたが,黎明期でビジネスになる領域は少なかったので,当時すでに収益性が高かった「電子金融」に目を付けました。アメリカに出張して証券会社等で話を聞き,日本も証券自由化に伴って,ネット証券にはすごいポテンシャルがあると考え,1998年にカブドットコム証券(現auカブコム証券)の設立準備で,生まれて初めて「起業」というものに関わりました。

──会計士の知識や資格はコンサルティング業務のどこで役に立ったと思いますか?
 新規事業を始める時,B/S,P/Lや資金の関係は非常に重要です。例えばリゾート施設を作る検討の場合,10年,20年というスパンで考える必要があります。また,スタートアップの世界に飛び込んでからは,法律や会計面をはじめ,損益分岐点などの管理会計などで,会計士試験を受けた時の全ての科目が役に立つなと感じました。会計士の試験は,経営を行うための知識がバランス良く体系的に身につく資格だと思います。法律面や会計面のそれぞれの立場で見るための力がつきます。また,現在のベンチャーキャピタリストという仕事にとっても,体系的な基礎知識を身に付けるという面では,会計士試験が非常に役に立ったと思います。

──その後の仕事について教えてください。
 1999年にカブドットコム証券の立ち上げ準備チームを辞めたあと,ネットイヤーグループに参画しました。初期のネットイヤーは,シード・アーリーの会社に対して資金を出してアドバイスもする「インキュベーター」を志向しており,1999年に日本法人の立ち上げと同時に第一号社員になりました。ITバブル崩壊後は,初心に帰ってスタートアップの成長を助ける仕事をしようと思い,2001年に独立して磯崎哲也事務所を立ち上げました。
2011年までは,カブドットコム証券やミクシィなどで,上場準備段階から上場後まで社外取締役などを行いつつ,スタートアップ企業のコンサルティングをやっていました。2010年頃にベンチャーを盛り上げるために「起業を増やさナイト」というイベントを行い,「起業の知識は非常に強く求められているな」と実感して,これをきっかけに,書籍「起業のファイナンス」を出すことになりました。
スタートアップとの仕事は,非常にわくわくするのですが,コンサルティングでは大きな報酬にはなりません。お金をもらうよりも,逆に資金を出して無料でアドバイスする方が理にかなっていると思い,2012年にフェムト・スタートアップという投資組合を,2013年には新生銀行と共に16億円の1号ファンドを設立し,最新の3号ファンドは111億円になっています。シード・アーリーの企業に億単位の資金を供給し,メガベンチャーに成長する支援をしてきましたが,昨年末は投資先のプレイドが上場し,時価総額1,000億円を超えたので,「優秀なチームに,まとまった資金を供給してアドバイスをすれば,大きな企業に育つ」ということが実証できたと考えています。

──仕事で大切にしていることは何ですか?
 「これまでできないと思っていたことや,世の中を変えるような大きなことも,起業や資金調達の仕組みを理解することで,今のあなたにもできるんだよ!」と伝えることを一番大切にしています。

──若手会計士にメッセージをお願いします。
 会計士の中でも感覚の鋭い人は,既にスタートアップに進出して大活躍しています。会計士は単にそろばんを弾くだけではなく,法律面や資金面など色々な面を見て安定感を持って仕事をしてくれる人たちだと私は思っています。
我々のようなベンチャーキャピタル(VC)で働くという選択もありますよ。スタートアップ1社に勤務して大きなアップサイドを狙うのもいいですが,より多くのスタートアップに関わって,いろんなわくわくを体験したいと考える人には,VCも向いていると思います。

─業界には会計士のニーズはありますか?
 大いにあります。私もスタートアップには「管理部長やCFOとして会計士の人に来てもらえる様な会社を目指すべきだ」と常々申し上げています。会計士が来てくれることはスタートアップ側からしても,とても嬉しいと思います。

──将来の目標,夢を教えてください。
 日本から,世界で活躍するスタートアップを生み出したいです。国境をまたぐには,数千億円の企業価値がないと体力的になかなか難しいですが,この10年で,企業価値が1,000億円を超える「ユニコーン」もたくさん出てくるようになりました。世界にインパクトを与える会社への成長を手伝うのが私の夢です。

──成功例が少なかった理由は何ですか。
 卵と鶏ですが,大きな成功事例が出れば,投資の額も大きくなります。1,000万円しか投資されない時代には1人雇うのが精一杯でも,100億円資金が調達できれば,年収数千万円の優秀な人を100人単位で雇えます。この10年で日本も見違えるほど巨額の資金が調達できるようになりましたので,今後もスタートアップ業界は桁違いの発展をしていくと思います。


略歴: 磯崎 哲也(いそざき てつや)氏
公認会計士・税理士・システム監査技術者
長銀総合研究所,ネットイヤーグループCFO等を経て,2001年に磯崎哲也事務所代表に就任。以降,カブドットコム証券社外取締役,ミクシィ社外監査役,中央大学法科大学院兼任講師等を歴任。現在は,フェムトパートナーズ株式会社ゼネラルパートナー。

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