税務通信 READER'S CLUB

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「賃貸契約している社宅に係る消費税区分」|税務通信 READER'S CLUB

No.3581
(2019年11月18日号) 8頁

特集 大企業経理マンでも見落としがちな消費税項目 ⑤用途区分 ~社宅用建物等の取得費の区分誤り~

Q1

 記事では、社宅を購入した場合の消費税区分が解説されていますが、社宅用として会社が賃貸した場合に発生する課税仕入れの消費税区分も、同様に考えればよいでしょうか。

A1

 社宅を購入した場合に発生する課税仕入れも、賃貸した場合に発生する課税仕入れも、考え方は同じです。つまり、従業員等から賃料を徴収する場合には、非課税売上に対応する課税仕入れとして、無償で貸付ける場合には、共通対応の課税仕入れとして、処理します。

 ただし、社宅として賃貸をした場合には、様々な課税仕入れとなる附随費用が発生します。例えば、物件の仲介手数料、駐車場代、水道光熱費、維持保守費用などです。これらの費用を個別に従業員から回収せず、家賃のみの回収としている場合には、これらの課税仕入れについても、非課税売上に対応する課税仕入れとして処理する必要がありますので、注意が必要です。

Q2

 居住用のマンションを、賃借人の都合で、事務所として利用した場合に、その支払う家賃は、課税仕入れとして処理していいのでしょうか。また、賃貸借契約書において、その用途が記載されていない場合には、どうでしょうか。

A2

 消費税法において、住宅の貸付けが非課税となるのは、「契約」において人の居住の用に使用することが明らかにされている場合に限られます。

消費税法 別表第一(第六条関係)
十三 住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限るものとし、一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

 したがって、契約当事者間において居住用として契約した建物について、賃借人が事務所など居住用以外の用途に使用しても、その支払う家賃が課税仕入れになることはありません。この取り扱いは、賃貸借契約書において、その用途が記載されていなくても、同様です。

 なぜなら、「契約書」に記載された文言ではなく、契約当事者間で合意した「契約」に基づく用途で判定するためです。

 上記の別表第一の十三だけではなく、下記の通達などにおいても、「契約書」ではなく「契約」という文言が使われています。

消費税基本通達 6-13-8(用途変更の場合の取扱い)
 貸付けに係る契約において住宅として貸し付けられた建物について、契約当事者間で住宅以外の用途に変更することについて契約変更した場合には、契約変更後の当該建物の貸付けは、課税資産の譲渡等に該当することとなる。
 (注) 貸付けに係る契約において住宅として借り受けている建物を賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに、当該賃借人において事業の用に供したとしても、当該建物の借受けは、当該賃借人の課税仕入れに該当しないのであるから留意する。

 なお、令和2年度税制改正では、これらの疑義を解消するため、以下のような改正が予定されています。

税制改正大綱 P84~P85
住宅の貸付けに係る契約において貸付けに係る用途が明らかにされていない場合であっても、当該貸付けの用に供する建物の状況等から人の居住の用に供することが明らかな貸付けについては、消費税を非課税とする。