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棚卸は税込み?税抜き?<3分で読める税金の話>

棚卸は損益に影響する

個人事業主は年末、法人は期末に棚卸をしますが、棚卸をして金額を出して、いざそれを仕訳入力するときの金額は税込みでしょうか?税抜きでしょうか?

棚卸の金額が大きければ売上原価が小さくなって利益が大きくなりますし、棚卸が小さければその逆で利益は少なくなります。利益が変動するということは納税額にも影響があります。税込みで仕訳計上するのか、税抜きで仕訳計上するのかは決算時の重要ポイントといえます。

棚卸表の見方

棚卸表は税抜きで作成されていることが多いと思います。これは請求書や納品書をベースに棚卸を作成しているからです。たいていの請求書、納品書は、品目ごとに税抜で記載してあり、それに個数を乗じています。最後に、すべての品目のトータルに消費税をプラスして請求額とするため、棚卸表は税抜きで作成されることが多くなるのです。とはいえ、棚卸表は、作成者に税抜きで作成したのか、税込みで作成したのかしっかりと確認することが重要です。

税込経理方式の場合は必ず税込み

消費税の処理方法に税込経理方式を選択適用する場合は、固定資産、棚卸資産や販管費、一般管理費なども税込経理することになります。そのため、棚卸表が税抜きで作成されているのであれば(1+消費税率)を乗じてから仕訳計上することになります。免税事業者は、税込経理方式を適用しなければならないことになっていますので、免税事業者も同様です。

税抜経理方式の場合は必ずしも税抜とは限らない

税抜経理方式を選択する場合は、売上げなどの収益に係る取引について必ず税抜経理をしなければなりません。税抜経理方式を選択している場合は基本的に、固定資産、棚卸資産、販管費、一般管理費など全て税抜経理としている企業が多いと思われますが、実は売上げなどの収益に係る取引について税抜経理を選択していても、固定資産、棚卸資産、販管費、一般管理費など支出に関する取引のいずれかの取引について、税込経理方式を選択適用することが可能です。そのため、税抜経理方式を選択しているからといって棚卸も税抜きで仕訳計上しているとは限らないのです。棚卸表が税込みまたは税抜きどちらで作成されているのか、会社としては税込みまたは税抜きのどちらで仕訳計上しているのか確認する必要があります。

税抜経理方式と税込経理方式を併用する場合の注意点

税込経理方式と税抜経理方式とを併用して選択適用する場合でも、個々の固定資産等又は個々の経費等について異なる経理方式を適用することはできません。例えば、固定資産のうちAという固定資産については税抜きとし、Bという固定資産については税込みとするというようなことは認められません。

基本的には税抜経理→税抜き仕訳でOK

税込経理の場合は棚卸資産も費用項目も税込み金額で仕訳計上をすることになります。税抜経理の場合は前年の処理を確認する必要がありますが、たいていの企業では税抜経理方式を選択している場合、棚卸資産や固定資産、販管費、一般管理費なども税抜きで経理処理していると考えていいでしょう。会計システムが税抜経理を選択すると自動的に収入以外も税抜経理方式となり、それに従って処理していると思われるからです。

おわりに

令和元年10月から消費税率が10%になりました。棚卸をした結果、税抜きで100万円だったとして、税込経理方式を選択している場合に税込金額に直さずに仕訳をしてしまうと10万円利益が小さくなってしまうことになります。棚卸表は税抜き、税込み、どちらで作成したのか、自社が選択している経理方式は税込経理方式か、税抜経理方式か。決算時には今一度確認していただきたいと思います。


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税理士 高山 弥生

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