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インボイス導入後の立替金処理が一層複雑化...システム改修を回避して実務を簡便化する秘策の行方は? 企業懇話会実務討議 月刊レポート2019年1月号から

一円を笑うものは一円に泣く...インボイス導入で避けられなくなった立替金や端数処理を巡るシステム改修問題に迫る!企業懇話会 税務部会
現在、各社が頭を悩ませているいわゆる「立替金」や「端数処理」等の実務処理の問題を取り上げる。これらは、部会に参加いただいた会員へのアンケートでも多くの方から参考になったとのご意見を頂いたものである。
いつもどおり、部会に寄せられた会員の質問から紹介しよう。

煩雑になる立替金処理に苦労する経理担当者

当社では立替払いの件数が非常に多くケースも様々であることから、インボイスQ&A・問54(立替金)で示されている要件を充足することは実務上困難であることが想定されます。そこで、実態は立替払いであっても、今後は課税売上と課税仕入れをそれぞれ認識することが案としてありますが、特に問題ないでしょうか。それぞれ認識することにより、課税売上割合は増加し、課税仕入れは個別対応方式により、それが課税売上対応であれば全額控除できることとなります。


業種や業態によっては立替金処理は日常茶飯事といえる。しかし、会員からの質問にもあるように、国税庁が示しているインボイス関係のQA54では、インボイス導入後の立替金処理は立て替えの事実を証する書類の保存や相手先の証明が必要等とされるなど、現状の実務に比べて煩雑とならざるを得ない。
そこで会員は、立て替えを実際の売り上げ・仕入れとみなせば消費税の経理処理が簡素化されるのではないかとお考えになった訳だ。

実務を軽減したい気持ちはわかるがこの方式は課税関係を置き換えることになってしまうため認められないだろう
会員のお考えになった事務処理軽減策については、理論的に可能ではないかといった考えもあるようだ。これが認められれば実務負担は大幅に軽減されるだろう。
しかし、部会の討議では、まず、この方式では実際の課税関係を別なものに置き換えてしまうことになるとの指摘がされた。具体的には、仮にこの方式をとった場合、「不課税」である立替金まで「課税」扱いとしてしまうことから仕入れ税額控除の計算が正しく行われなくなってしまう可能性が出てくる。
これに似たケースとして、実務では、輸出免税に係る手間を省くために輸出を課税として処理するなどの方策が検討された事例もあるようだ。しかし、これも、課税関係をいわば恣意的に変更することになるため、法的にも認められないことになる。
こうした問題があるだけに、国税当局は、部会で尋ねられた質問のような方式を認めないだろうとの見解が示されたところである。
次は多くの企業が頭を抱える端数処理の問題だ。

インボイス導入後の消費税額の端数処理と対応は?

インボイスにおける消費税の端数処理は、一請求書あたり税率ごとに1回ずつ実施との事ですが、当社では現在、会計帳簿上一仕訳ごとに端数処理を実施しています。このため請求書に記載された取引に対する消費税計上額が請求書ベースと仕訳ベースで一致しなくなる可能性がありますが、これは許容されるのでしょうか。


一取引ごとの端数処理はやはり認められず
インボイスにおける消費税額の端数処理は、個々の商品ごとに行うのではなく、一つのインボイスに記載された8%もしくは10%の税率商品の合計で行うこととされている(消費税法施行令70の10・インボイス通達3-12)。
この点は会員各位も重々承知されているが、いかんせん、現行の各社のシステムでは質問にもあるように消費税法が要求するような処理を行う仕組みにはなっていないケースがほとんどのようだ。
消費税法に規定する仕組みに対応するためのシステム改修は手間も費用も膨大なものにならざるを得ないところから、現状のシステムで何とか対応できないものかと相談を寄せて頂いた次第である。

見逃せない会計とのずれ
しかし、この点についてはすでに税務通信誌上でもお伝えした通り、今のところ、国税当局が一仕訳ごとの端数処理を認めることはない模様だ。
これに伴って、各社は消費税の端数処理に関するシステム改修が必至とならざるを得ない。こうした状況を考慮してか、国税庁では新たに出されたQA44で、納品書単位での端数処理を合計した請求書といった形式もインボイスとして認めるとの方針を打ち出したりしている。今後も、当局サイドから消費税の会計処理と税務処理とのずれを調整する何らかの対応が行われることもあるかもしれないので今後の報道等にはくれぐれもご注意いただきたい。

ともあれ、「立替金」にしろ「端数処理」にしろ、インボイス導入で実務が煩雑になることに変わりはない。インボイス実施までにはまだ時間があるだけに、国税当局には、これからも、通達、QAなどで実務家の要望に応える対応を行ってほしいものだ。

企業懇話会・消費税部会
「インボイス導入後の仕入税額控除等に係る諸問題と対応」
~軽減税率の適用判定等の最終チェックも含めた実例検討~

<開催日時・会場>
●広島会場  1月23日(水) 13:00~16:00 メルパルク広島
●仙台会場  2月14日(木) 13:30~16:30 ホテルモントレ仙台
※札幌会場は、詳細が決まり次第会員サイトでご案内します。(3月13日開催予定)
<参加対象者>  企業の経理実務責任者および担当者
<参加費> 企業懇話会会員 無料 (※1社につき1名様までご参加いただけます。)
<主な検討項目(予定)>
・インボイス導入後の請求書や帳簿の記載・表示方法は?
・返金やリベート、経費等の立替えが生じた場合の対応は?
・インボイスの保存方法及び仕入税額控除の要件は?
・軽減税率の適用判定等に関する積み残しの問題と対応は?
※ご興味のある方は「企業懇話会事務局」までお問い合わせ下さい。
(丸の内税研アカデミーでのお申込みは受け付けておりません)
TEL:03-6777-3461 E-Mail: kigyo-konwakai@zeiken.co.jp

提供元:企業懇話会事務局

※リンク先PDFは会員制度「企業懇話会」会員向け文書となります。
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